研究課題/領域番号 |
16KT0030
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山末 英嗣 立命館大学, 理工学部, 准教授 (90324673)
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研究分担者 |
マクレラン ベンジャミン 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (10723455)
松八重 一代 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (50374997)
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研究期間 (年度) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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キーワード | 関与物質総量 / 食材 / ビッグデータ / 食 / レシピ / 国外依存性 / 自給率 |
研究実績の概要 |
人間が生きていく上で必要不可欠な「食」の生産には多岐にわたる資源採掘活動が関わっているが,本研究では関与物質総量(TMR)と呼ばれる指標を用い,それらを定量化し,食料に関する戦略的な資源戦略を構築する.そのため,初年度は「食料」生産の関与物質総量のフレームワークを構築した.従来の関与物質総量のフレームワークに整合させるため,特に水と土壌の扱いについて検討を行った.そして,この構築したフレームワークに基づき,主に国内生産されている食材のTMR係数を算出した.代表的な計測対象は,水稲直播,トマト,キャベツ,小麦といった農作物約30種,畜産・酪農(鶏卵,鶏肉,肉豚,肉牛,牛乳),漁業・水産(漁法33種,魚種):遠洋底びき網,以西底びき網,沖合底びき網,小型底びき網,船びき網採貝・採藻,養殖,その他の漁業であった.なお,小麦,佐藤,大豆等は国外での生産についても検討を行った. さらに食料の関与物質総量に「消費量」を乗じることで,ある国の食料消費に必要とする年間の「土地改変量(年間関与物質総量)」を定義し,その経年的な変化を計量した.日本,中国,インドを対象としてまずは粗い推計を行い,日本の肉食化が大きな影響を示すことが明らかとなった.さらに発展的研究として,クックパッド社から提供されたレシピに関するビッグデータと本研究成果との接続も行った.およそ172万件のレシピを火星岸,暫定的に103種の料理について,TMRの分布を統計的に解析した. また,オーストラリアのクイーンズランド大学,シドニー工科大学でワークショップを開催し,データの相互提供についての確認を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では当初の予想より早いペースで食材のTMR係数に関するデータベースを構築できている.また,レシピに関するビッグデータの解析結果を本研究と接続できたことは予想外の大きな前進であった.さらにはオーストラリアの研究者とのワークショップを通じての情報交換も大きな進捗であった.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として第一に考えられることは,国産の食材だけで無く,国外で精算されて日本に輸入されているような食材についてのインベントリデータを収集し,初年度で得られた結果を修正する点である.また,諸外国における年間のTMRを推定するためには,対象国の国産食材の情報も必要である.したがって,次年度はまずこれらのデータ収集に努める. また,これまでのデータは主に単位重量あたりのTMRとして評価していたが,食品の特性上,単位カロリーあたり,単位栄養素あたり,一人分の給仕量あたりといった評価も必要と考えている.これは後で述べるビッグレシピデータの解析結果との接続にも必要な情報である. 次に,得られたデータはこれまではプロセスあるいは投入物ごと(輸送,肥料,農薬,エネルギー等)の分類であったが,これを国別の分類に再整理し,新しい食料自給率の評価のためのフレームワークを構築する. 初年度のビッグレシピデータ解析結果により,広範な献立についてのレシピデータを得ることができたが,この結果は研究協力者の協力の下,レシピの自動生成プログラムと接続させ,(主に日本を対象として)日本の平均的な食事スタイルと至言強度との接続を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
本来は日本に海外の研究者を招へいする予定だったが、代表者自身がオーストラリアに訪問したため支出が減少し、効率的に予算を使用する結果となった。
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次年度使用額の使用計画 |
東南アジアを中心とした途上国におけるフィールド調査に使用予定。
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