研究課題/領域番号 |
16KT0035
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
齋田 倫範 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (80432863)
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研究分担者 |
高梨 啓和 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (40274740)
安達 貴浩 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (50325502)
門川 淳一 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (30241722)
上田 岳彦 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (80293893)
酒匂 一成 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (20388143)
松鵜 さとみ (松鵜さとみ) 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (10713349)
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研究期間 (年度) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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キーワード | 流出解析 / 流域 / 農薬 / 環境変化体 |
研究実績の概要 |
農地流域の農地-水路-河川ネットワークにおける水収支の評価に向け,降雨流出解析モデルに粒子追跡の手続きを追加することによって,流域における降雨流出の経路や時間スケール,および流域における降雨と河道内の水理現象との関係を定量評価するためのツールを構築した.降雨流出解析には,山地斜面の計算に1次元Kinematic Waveモデル,幹川の計算にDynamic Wave法,支川の河道にManningの式を採用した既有のモデルを利用した.H28年度は,検証用の水文データが充実している一級河川の川内川・鶴田ダム~倉野橋区間とその集水域を計算対象とした.また,計算期間を平成18年7月鹿児島県北部豪雨が発生した2006年7月18日~29日とすることで,短期間で水位・流量が大きく変動する条件下での検討を行った.これにより,本研究において降雨流出解析モデルに新たに追加した手続きが,流域における降雨流出過程の評価や流域内での降水現象と河道内の水理現象との関連性を評価するためのツールとして有用であることを確認した.さらに,本手法の問題点や改良方針を整理した. 農薬環境変化体の濃度測定体制の確立に向けた取り組みとして,LC/MSの移動相配管にスイッチングバルブを導入したon-line固相抽出システムを構築し,モニタリングのhigh throughout化を実現した.さらに,農薬環境変化体の生態系への曝露量を把握するための現地モニタリングを実施した.その結果,ピレスロイド系殺虫剤であるエトフェンプロックスが微量ながら検出された.そこで,文献研究によりエトフェンプロックスの環境変化体を調査したところ,3物質が明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度に予定していた水文調査などへの着手が遅れているものの,数値モデルの整備に関連する作業を先行して実施していることから,研究全体としては「おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,農地流域における農薬変化体の動態を評価可能な精度の数値モデルの構築に向けて,水文・水質特性に関する調査および農地流域における地盤内浸透流の実態を把握するための調査に着手する.現地での調査と平行して,降雨流出解析モデルの改良を推進する.さらに,平成28年度に引き続き,農薬変化体分布に関する現地モニタリング,および農薬変化体の濃度測定体制の確立に向けた取り組みを実施する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
梅雨のタイミングや台風といった季節的要因などが影響したことによって,平成28年度に予定していた水質調査等への着手が遅れており,現地調査に係わる消耗品費,設備備品費,調査旅費の支出が当初の計画を下回ったことが主要因である.
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は,水文・水質調査,農薬変化体分布に関する現地モニタリングと濃度測定体制の整備,および流域水循環に関する数値計算を行う予定である.そのため,現地調査や各種分析に係わる消耗品類,ならびに現地調査旅費,成果発表旅費を中心として研究費を支出する計画となっている.
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