季節予報に基づく作物・エネルギー・経済モデルによる世界食料価格の予測精度と限界

2019 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 16KT0036
• 研究機関: 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
• 研究代表者: 國光 洋二 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 再雇用職員 (30360390)
• 研究分担者: 高橋 潔 国立研究開発法人国立環境研究所, 社会環境システム研究センター, 室長 (00291047) ; 中田 俊彦 東北大学, 工学研究科, 教授 (20260416) ; 細江 宣裕 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (60313483) ; 古家 淳 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 社会科学領域, 領域長 (60399368) ; 飯泉 仁之直 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 主任研究員 (60616613) ; 増本 隆夫 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (80165729) ; 上田 達己 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 上級研究員 (80414431) ; 小泉 達治 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (80415637)
• 研究期間 (年度): 2016-07-19 – 2020-03-31
• キーワード: 気候変動 / 応用一般均衡モデル / 産業連関モデル / 政策シミュレーション

研究実績の概要

①世界マクロ経済モデルによるシミュレーション：作成した複数の経済モデルを用いて、同じ入力に対する各モデルの出力結果を比較し、モデルの特性を明らかにする。
②予測精度と限界を定量化するためのシミュレーション分析：作物モデル、エネルギーモデル、経済モデルを連携して、農産物価格に関する予測精度と限界を明らかにする。具体的には、過去23年間（1993～2015年）のGCMによる気温等の3ヶ月先の季節予測値を入力して23年間の主要4作物（コメ、小麦、トウモロコシ、大豆）の単位面積当たりの収穫量（収量）を推定する。この結果を経済モデルに入力して、食料需給量から、世界の主要国（38ヶ国・地域）における価格を再現推定する。再現推定結果をFAOの統計で示される実績データと比較して経済モデルの予測精度を評価するとともに、収量予測段階、食料価格予測段階における予測精度の変化を定量化し、モデルの特性と予測の限界を示す。また、石油価格のような外部条件が変化した場合の農産物価格に対する影響を経済モデルにより再現推定し、実績データと比較して収量変動以外の影響に関するモデルの予測精度と限界を明らかにする。
③政策提言のとりまとめ：作物・エネルギー・経済統合モデルによるシミュレーション結果をもとに、異常気象や食料市場環境の変化を考慮した食料価格の予測モデルの実社会での活用について政策提言をまとめる。
これらの結果について、国内外で開催される学会（日本農業気象学会、日本地域学会、GTAP Conference）や国際ジャーナル（Asian Journal of Regional Science）で公表し、成果の普及に努める。

研究成果

• [国際共同研究] OECD(経済協力開発機構）(フランス)
  • 国名: フランス
  • 外国機関名: OECD(経済協力開発機構）
• [国際共同研究] FAO (国連食糧農業機関）(イタリア)
  • 国名: イタリア
  • 外国機関名: FAO (国連食糧農業機関）
• [雑誌論文] Policy measures to promote mid-summer drainage in paddy fields for a reduction in methane gas emissions: The application of a dynamic, spatial computable general equilibrium model (2020)
  • 著者名/発表者名: Kunimitsu Y, Nishimori M.
  • 雑誌名: Paddy and Water Environment 巻: 18 ページ: 211-222
  • DOI: 10.1007/s10333-019-00775-6
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Global Rice Market Projections Distinguishing Japonica and Indica Rice under Climate Change (2020)
  • 著者名/発表者名: Tatsuji Koizumi, Gen Furuhashi
  • 雑誌名: Japan Agricultural Research Quarterly (JARQ) 巻: 54(1) ページ: 63-91
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 2017年の中国のバイオエタノール普及拡大政策が食料需給に与える影響 (2020)
  • 著者名/発表者名: 小泉達治
  • 雑誌名: 農業経済研究 巻: 91(4) ページ: 484-489
  • 査読あり
• [雑誌論文] 中山間地域における持続可能な森林利用のための伐出工程機械化の生産性評価 (2020)
  • 著者名/発表者名: 佐藤高士,古林敬顕,根本和宣,中田俊彦
  • 雑誌名: 森林利用学会誌 巻: 35 ページ: 15-24
  • DOI: 10.18945/jjfes.35.15
  • 査読あり
• [雑誌論文] Recoverability Analysis of Critical Materials from Electric Vehicle Lithium-Ion Batteries through a Dynamic Fleet-Based Approach for Japan (2020)
  • 著者名/発表者名: Fernand Enzo Kenta Sato, Toshihiko Nakata
  • 雑誌名: Sustainability 巻: 12 ページ: 1-18
  • DOI: 10.3390/su12010147
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] The global dataset of historical yields for major crops 1981-2016 (2020)
  • 著者名/発表者名: Toshichika Iizumi, Toru Sakai
  • 雑誌名: Scientific Data 巻: 7 ページ: 97
  • DOI: https://doi.org/10.1038/s41597-020-0433-7
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Rethinking sustainable bioenergy development in Japan: decentralised system supported by local forestry biomass (2019)
  • 著者名/発表者名: Chun Sheng Goh, Takanobu Aikawa, Amanda Ahl, Kanae Ito, Chihiro Kayo, Yasunori Kikuchi, Yasuo Takahashi, Takaaki Furubayashi, Toshihiko Nakata, Yuichiro Kanematsu, Osamu Saito, Yoshiki Yamagata
  • 雑誌名: Sustainability Science 巻: 1 ページ: 1-11
  • DOI: 10.1007/s11625-019-00734-4
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Design and analysis of district heating systems utilizing excess heat in Japan (2019)
  • 著者名/発表者名: Shin Fujii, Takaaki Furubayashi, Toshihiko Nakata
  • 雑誌名: Energies 巻: 12 ページ: 1-14
  • DOI: 10.3390/en12071202
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 燃料電池自動車のシステム性能分析と運輸旅客部門への導入可能性評価 (2019)
  • 著者名/発表者名: 内田 皓久, 古林 敬顕, 中田 俊彦
  • 雑誌名: 日本機械学会論文集 巻: 85 ページ: 1-18
  • DOI: 10.1299/transjsme.18-00122
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 個票データによる農家の生産性分析: 農家間の異質性と農産物バラエティ間の代替の弾力性の同時推定 (2019)
  • 著者名/発表者名: 阿久根優子, 細江宣裕
  • 雑誌名: GRIPS Disucussion Paper 巻: 19(5) ページ: 1-34
  • DOI: http://doi.org/10.24545/00001683
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] Can the Japanese Agri-food Sectors Survive by Promoting their Exports?: A General Equilibrium Analysis with Farm Heterogeneity and Product Differentiation (2019)
  • 著者名/発表者名: Hosoe N, Akune Y.
  • 雑誌名: GRIPS Disucussion Paper 巻: 19(6) ページ: 1-33
  • DOI: http://doi.org/10.24545/00001688
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] Microdata Analysis of Japanese Farmers' Productivity: Estimating Farm Heterogeneity and Elasticity of Substitution among Varieties (2019)
  • 著者名/発表者名: Akune Y, Hosoe N.
  • 雑誌名: GRIPS Disucussion Paper 巻: 19(24) ページ: 1-38
  • DOI: http://doi.org/10.24545/00001714
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] 農業・食品部門を拡張した2014年の9地域間産業連関表の推定 (2019)
  • 著者名/発表者名: 國光洋二
  • 雑誌名: 農研機構研究報告農村工学研究部門 巻: 3 ページ: 107-118
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] 扇状地 の灌漑農業におけるエネルギー ・温室効果ガス排出収支の実態― 都道府県間産業連関分析によるライフサクルアセスメント ― (2019)
  • 著者名/発表者名: 上田達己、國光洋二、沖山 充、徳永澄憲、石川良文
  • 雑誌名: 農業農村工学会論文集 巻: 308 ページ: Ⅰ_105-Ⅰ_116
  • 査読あり
• [雑誌論文] Interregional price linkages of fossil-energy and food sectors: evidence from an international input-output analysis using the GTAP database (2019)
  • 著者名/発表者名: Ueda T、Kunimitsu Y
  • 雑誌名: Asia-Pacific Journal of Regional Science 巻: 4(1) ページ: 55-72
  • DOI: 10.1007/s41685-019-00124-9
  • 査読あり
• [学会発表] 市区町村の地域特性を考慮した 広域エネルギーシステムの統合設計 (2020)
  • 著者名/発表者名: 小野寺弘晃, 中田俊彦
  • 学会等名: 第36回エネルギーシステム・経済・環境コンファレンスプログラム
• [学会発表] セクターカップリングを考慮した脱炭素型エネルギーシステムの最適設計及び性能評価 (2020)
  • 著者名/発表者名: 長野尚也, 中田俊彦
  • 学会等名: 第36回エネルギーシステム・経済・環境コンファレンスプログラム
• [学会発表] セクターカップリングを考慮した余剰電力を活用する地域熱供給システムの設計 (2020)
  • 著者名/発表者名: 尾崎竣也, 中田俊彦
  • 学会等名: 第36回エネルギーシステム・経済・環境コンファレンスプログラム
• [学会発表] Autoencoder for the Analysis of Energy Systems Data (2020)
  • 著者名/発表者名: Delage Remi, 中田俊彦
  • 学会等名: 第36回エネルギーシステム・経済・環境コンファレンスプログラム
• [学会発表] 日本の大豆作生産性の地域間、規模層間差－北海道と都府県の作付規模層別データによる分析－ (2020)
  • 著者名/発表者名: 小林創平, 國光洋二
  • 学会等名: 2020年度日本農業経済学会大会
• [学会発表] 気候変動下の農産物貿易におけるシステミックリスク－作物モデルと連携した世界応用一般均衡モデルによる分析結果－ (2020)
  • 著者名/発表者名: 國光洋二, 櫻井玄
  • 学会等名: 2020年度日本農業経済学会大会
• [学会発表] 中山間地域における森林資源を利用した家庭向け熱供給システムの検討 (2019)
  • 著者名/発表者名: 根本和宜, 中田俊彦
  • 学会等名: 第15回バイオマス科学会議
• [学会発表] 木質バイオマスの利用拡大に向けた技術評価 (2019)
  • 著者名/発表者名: 海邉健二, 大友順一郎, 中田俊彦
  • 学会等名: 第15回バイオマス科学会議
• [学会発表] 森林資源の空間情報を考慮した素材生産システムのモデル開発 (2019)
  • 著者名/発表者名: 千田 遥斗, 根本 和宜, 中田 俊彦
  • 学会等名: 第15回バイオマス科学会議
• [学会発表] 機械学習を用いたエネルギーシステムの分析 (2019)
  • 著者名/発表者名: ドラージュ レミ, 中田 俊彦
  • 学会等名: 日本機械学会 技術と社会部門講演会
• [学会発表] エネルギー需給の空間情報分析に基づく地域熱供給システムの設計 (2019)
  • 著者名/発表者名: 尾崎 竣也, 中田 俊彦
  • 学会等名: 日本機械学会 技術と社会部門講演会
• [学会発表] 地域における木質バイオマス利用技術の選択要件 (2019)
  • 著者名/発表者名: 根本 和宜, 中村省吾, 森 保文, 大場 真, 中田 俊彦
  • 学会等名: 日本機械学会 技術と社会部門講演会
• [学会発表] Introducing sector coupling to utilize renewable resources for regional decarbonization in Japan (2019)
  • 著者名/発表者名: Naoya Nagano, Toshihiko Nakata
  • 学会等名: 5th International Conference on Smart Energy Systems
  • 国際学会
• [学会発表] エネルギー需給特性を考慮した市区町村のクラスター分析 (2019)
  • 著者名/発表者名: 小野寺弘晃, 中田俊彦
  • 学会等名: 第38回エネルギー・資源学会研究発表会
• [学会発表] 東北地方におけるセクターカップリングを考慮した地域エネルギーシステムの設計 (2019)
  • 著者名/発表者名: 長野尚也, 中田俊彦
  • 学会等名: 第38回エネルギー・資源学会研究発表会
• [学会発表] Analysis and integrated design for supply chain of Empty Fruti Bunch (EFB) pellet (2019)
  • 著者名/発表者名: Yuka Yokoi, Takaaki Furubayashi, Toshihiko Nakata, Hidekazu Kasai
  • 学会等名: 27th European Biomass Conference
  • 国際学会
• [学会発表] 気候変動が栄養供給に与える影響の世界食料モデル分析-アフリカ地域の栄養素供給の推移- (2019)
  • 著者名/発表者名: 古家 淳
  • 学会等名: 日本地域学会
• [学会発表] 気候変動下の高温ストレスに対するスーダンのコムギ生産への影響 (2019)
  • 著者名/発表者名: 飯泉仁之直, 坪充
  • 学会等名: 日本地域学会第56回(2019年)年次大会
• [学会発表] mpact of Trade Liberalization on the Japanese Agri-food Sectors: A General Equilibrium Analysis with Farm Heterogeneity and Product Differentiation (2019)
  • 著者名/発表者名: Hosoe N, Akune Y.
  • 学会等名: the 22nd Annual Conference on Global Economic Analysis
  • 国際学会
• [学会発表] 貿易自由化の農産物・食品分野への影響: 農家の異質性と製品差別化を考慮した応用一般均衡分析 (2019)
  • 著者名/発表者名: 細江宣裕, 阿久根優子
  • 学会等名: 日本地域学会第56回年次大会
• [学会発表] 日本の農家の異質性とバラエティ間の代替の弾力性：『農家経営統計調査』の個票データによる分析 (2019)
  • 著者名/発表者名: 阿久根優子, 細江宣裕
  • 学会等名: 日本地域学会第56回年次大会
• [学会発表] 将来の気候変動下の農産物貿易におけるシステミックリスク－世界応用一般均衡モデルによるシミュレーション分析－ (2019)
  • 著者名/発表者名: 國光洋二
  • 学会等名: 日本地域学会第56回(2019年)年次大会
• [学会発表] 那須野ヶ原扇状地における灌漑農業のエネルギー収支 (2019)
  • 著者名/発表者名: 上田達己, 國光洋二
  • 学会等名: 日本地域学会第56回(2019年)年次大会
• [学会発表] Expansion of Regional Economic Gaps under a Population Decline in Japan (2019)
  • 著者名/発表者名: Kunimitsu Y.
  • 学会等名: JAPAN-KOREA RURAL PLANNING SEMINAR 2019
  • 国際学会
• [学会発表] 人口減少下の地域経済と経済発展の方策－研究開発投資に着目して－ (2019)
  • 著者名/発表者名: 國光洋二
  • 学会等名: 第22回日本水環境学会シンポジウム
  • 招待講演
• [図書] Development of an Economic Model for Evaluation of Climate Change in the Long-run for International Agriculture: EMELIA (2020)
  • 著者名/発表者名: Jun Furuya
  • 総ページ数: 186
  • 出版者: Japan International Research Center for Agricultural Sciences
  • ISBN: 1341-710X
• [図書] Emerging Adaptation to Climate Change in Agriculture (2019)
  • 著者名/発表者名: Iizumi T, Hirata R, Matsuda R
  • 総ページ数: 228
  • 出版者: Springer
  • ISBN: 978-981-13-9234-4