研究課題/領域番号 |
16KT0043
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山崎 幸治 神戸大学, 社会システムイノベーションセンター, 教授 (30319818)
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研究分担者 |
伊藤 高弘 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (20547054)
島村 靖治 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (50541637) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-07-19 – 2020-03-31
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キーワード | 内戦 / スリランカ / 家計調査 / メンタルヘルス / 人的資本 |
研究実績の概要 |
本年度は家計調査に向けた準備とその実施を主に行った。2017年7月から8月にかけて現地調査を行い、現地の研究者数名と会い、調査内容についての討議を行った。その結果、予定していたウヴァ・ウェラッサ大学のKumara上級講師に代えて、ペラデニヤ大学のUsoof-Thowfeek上級講師を共同調査のメンバーとして加えることになった。さらに調査委託先機関としてKandy Consulting Groupと議論を重ねた結果、神戸大学と正式に調査委託契約を締結するに至った。 その後、質問票の作成を続け、2017年11月には再び現地調査を行い、質問票のテストのためのパイロット調査をKandy Consulting Groupの協力の下、Trincomalee県で100世帯を対象に実施した。帰国後、パイロット調査データを用いた分析を行い、紛争の直接的被害を受けた人は、終戦後8年が経過した後でも主観的幸福度が低く、うつ病のリスクが高いことが確認された。また、こうしたメンタルヘルスの悪化が、労働参加率を引き下げている可能性も示した。この研究成果は、2018年3月に論文として出版されている。 パイロット調査から帰国後、質問票のさらなる改訂作業を行い、質問票のシンハラ語、タミル語への翻訳を行った。2018年2月から3月にかけて再び現地調査を実施し、現地共同研究者およびKandy Consulting Groupと共同で約20名の調査員および調査監督員のトレーニングを、シンハラ語、タミル語の通訳を介して実施した。引き続いて2018年3月から4月にかけて、旧紛争地域の1600世帯を対象とした家計調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、スリランカ内戦の影響について家計調査をもとに分析することを目的としたプロジェクトである。予算的制約から、今回の調査では人工フィールド実験を行わないことにし、さらに難民キャンプからの再定住がほとんど完了する状況となったため、難民キャンプを調査対象から除外し、旧紛争地域全体を代表する家計調査を実施することとした。こうした変更点はあるものの、調査・研究計画は予定どおりに進捗した。家計調査に向けて、現地調査機関との調査委託契約の締結、現地共同研究者との質問票作成、パイロット調査、調査員・監督員トレーニング等を順調に終え、2018年3月から4月にかけて1600世帯の本調査を実施するに至った。また、パイロット調査データに基づく論文1本を出版した。以上から、順調な進捗状況を示していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はまず、本調査のデータ整理と入力をKandy Consulting Groupと進め、そのデータを元にデータ分析と論文執筆を進める予定である。また、執筆論文を元に現地共同研究者との討議を行い、出版に向けた論文改訂作業も始める。次年度には成果報告のためのシンポジウム等を開催する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Kandy Consulting Groupとの調査委託契約から、調査に対する支払いの多くが本調査終了後の2018年度に行われるため、その費用の一部として繰越金を残した。
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