研究課題/領域番号 |
16KT0043
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山崎 幸治 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (30319818)
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研究分担者 |
伊藤 高弘 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (20547054)
島村 靖治 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (50541637) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-07-19 – 2021-03-31
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キーワード | 内戦 / スリランカ / 貧困削減 / 教育 / 健康 |
研究実績の概要 |
本研究で実施したスリランカの旧紛争地域を対象とした1600世帯の家計調査について、その概要を解説したワーキング・ペーパーをGSICS working paper series No.37として2021年3月に刊行した。ワーキング・ペーパーでは、エスニック・マイノリティの世帯において、平均教育年数が低く、女性世帯主の世帯や寡婦の割合が高くなっていることが明らかになった。とりわけスリランカ・タミルの人々が貧困世帯の大多数を占めていることが明確になり、紛争終結後も紛争被害の負の影響が長引いていることを示した。家計調査に関するホームページも開設し、関連する研究成果を公開するとともに、家計調査における英語、シンハラ語、タミル語による質問票、調査員用フィールド・マニュアル、コードブックなどをPDF形式で公開した。 他の今年度の研究成果として、紛争経験が民族間の信頼度に与える影響、および紛争経験が学齢期の子供の教育年数に与える影響について、それぞれGSICS working paper series No.38およびCSRDA Discussion Paper No.11として2021年3月に刊行した。前者は紛争経験が政府に対する信頼度を低めるとともに、自民族に対するアイデンティティを高めることで、社会的分断をもたらしていることを明らかにした。後者は、学齢期の子供の世帯が紛争被害にあうことで、その子供の教育年数が平均で1.77年少なくなることを示した。どの研究成果も、特定の人々が紛争終結後10年近く経過しても負の影響を被り続けていることを明らかにしており、そうした特定集団にターゲットを当てた復興政策が必要であることを提言として示した。これらの研究成果は、スリランカと中国の共同研究者が参加した国際共著論文であり、今後、国際学術雑誌に投稿する予定である。
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