本研究の目的は、スリランカの旧紛争地域を対象に内戦による長期的な悪影響について実証データ分析を元に明らかにすることで、内戦からの一層の復興と貧困削減を促すことにある。既存データおよび独自に収集した旧紛争地域で大規模家計調査データの分析結果から、旧紛争地域のエスニック・マイノリティ世帯の教育水準が低く、女性世帯主世帯や寡婦の数が多いこと、紛争被害を受けた人々はメンタルヘルスの状況が悪く、政府や軍隊、異なるエスニック集団に対する信頼度が低下していること、資産の損失を被った世帯で子供の教育機会が失われていること、紛争隣接地域への避難民流入が子供の健康状態を損なっていることなどが明らかになった。
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