研究課題/領域番号 |
16KT0044
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
蓮見 雄 立教大学, 経済学部, 教授 (80247189)
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研究分担者 |
石郷岡 建 麗澤大学, 経済学部, 講師 (10409138) [辞退]
末澤 恵美 平成国際大学, スポーツ健康学部, 教授 (20348329)
SHADRINA ELENA 早稲田大学, 国際学術院, 准教授(任期付) (40612495)
東野 篤子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60405488)
前田 弘毅 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (90374701)
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研究期間 (年度) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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キーワード | エネルギー / 国際関係 / EU / ロシア / 東方シフト / 欧州近隣政策 / 東方パートナーシップ / 東方経済フォーラム |
研究実績の概要 |
本年度は、モスクワ(ロシア)及びブリュッセル(ベルギー)にて、共同現地調査を実施した。モスクワでは、スコルコヴォ・モスクワ・マネージメントスクール・エネルギーセンター、モスクワ国際関係大学、カーネギー・センター、レバダ・センター、ロシア下院、ゴルスカヤ社(LNG企業)、ガスプロム(ロシア国営ガス会社)、ラジオ「モスクワのこだま」などを訪問し、聞き取り調査を行った。 ブリュッセルでは、在ベルギー・ジョージア大使館、住友商事ベネルックス、JETROブリュッセル、NHKブリュッセル支局、共同通信ブリュッセル支局、Center of European Policy Studiesの東方パートナーシップ専門家、NATO、欧州委員会エネルギー総局を訪問し、聞き取り調査を行い、またHouse of European Historyを訪れ、欧州統合の歴史について共通認識を深めた。 前年度の文献調査に加え、本年度の現地調査を基礎として、共同研究を進めている。研究業績一覧にあるとおり、それぞれの専門分野において論文、著書、学会発表などを通じて、研究成果を公表している。例えば、ヨーロッパとアジアのあいだに位置するロシアにとってのエネルギー安全保障問題、EUの欧州近隣政策・東方パートナーシップ、ユーラシア経済連合とエネルギー問題、ウクライナ・ロシア・ユーラシア連合諸国の対外経済関係などについて研究成果をあげている。 各分担者、研究協力者と協議しながら進めてきた文献・資料・情報の収集と共有、及び合同現地調査を通じて、歴史、政治、経済、エネルギーと異なる専門分野の研究者間の認識の共有が進みつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概要に示した通り、様々な形で研究成果の公表を開始しており、またH28年度に選定した調査対象を中心に、2度の合同現地調査(モスクワ、ブリュッセル)を行い、これによって専門分野を異にする研究者間のあいだで共通認識が格段に高まった。これは、学際的な共同研究によって「ウクライナ危機とエネルギー安全保障の総合的研究」を行うことを目的とする本研究が前進していることを示すものである。 しかし、現地調査で得られた資料や知見の整理及び検討を進めているが、完了していない。当初の予定では、共同で研究成果の一端を発表し、仮説の有効性を問い、そこでの議論を共同研究にフィードバックする予定であったが、現地調査の成果を各研究者が所属する学会で分科会を組織し、また関連研究機関と協力してセミナーを開催することについては、まだこれからの課題である。 またH28年度実施を予定していたものの、研究分担者のスケジュール調整が上手くいかず、ウクライナの諸機関や研究者に対する合同現地調査が実施できていない。 さらに、本研究の組織外のエネルギーや中国経済などの専門家に専門的知識の提供を依頼し内諾を得ているものの、スケジュールの都合から実施が次年度にずれ込んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
まず、H28年度に予定していながら実施できなかったウクライナでの合同調査を、H30年9月に実施する予定である。 また、既に内諾を得ている本研究の組織外のエネルギーや中国経済などの専門家を招いた研究会を実施し、これによってより広い視野から研究課題を検討する。 さらに、研究分担者が所属する学会等において分科会など合同で研究成果を公表する機会を得られるよう関係学会との交渉を進める。 研究成果を総括するために、これまでの研究成果を踏まえ、書籍準備のための原稿執筆に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
H28年度に予備的な現地調査ができず、次年度使用額が生じた。その遅れを取り戻すべく、モスクワとブリュッセルにおいて、それぞれ約1週間にわたり密度の濃い現地調査を実施することができた。前年度に実施できなかったウクライナにおける現地調査を行うことも検討したが、年3回の現地調査は、研究分担者らの授業を含む大学業務に支障を来す恐れがあると判断し、次年度に実施することとした。そのため、次年度は当初の予算よりも大幅に現地調査の経費がかかることが予想され、意識的に次年度使用額を確保した。この現地調査実施の予定変更が、次年度使用額が生じた最大の理由である。 また、研究分担者であった石郷岡建氏が、所属大学を退職するのに伴い、科研費番号を喪失することが判明した時点で、科研費の使用を停止し、急遽、配分した分担金の未使用分を研究代表者に移管した。これが、次年度使用額に含まれている。 本年度のベルギーの現地調査では通訳を使用せず英語で調査を行い、モスクワでの調査では日露専門家会議の協力が得られたため、通訳の謝金が節約された。本件研究の組織外の専門家からの専門的知識の提供については、内諾を得ているものの実施は次年度になるため、謝金はまだ支出されていない。H30年度には海外現地調査のための旅費、専門家からの専門的知識の提供を受けるため謝金を支出する。
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