研究課題/領域番号 |
16KT0044
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
蓮見 雄 立教大学, 経済学部, 教授 (80247189)
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研究分担者 |
石郷岡 建 麗澤大学, 経済学部, 講師 (10409138) [辞退]
末澤 恵美 平成国際大学, スポーツ健康学部, 教授 (20348329)
SHADRINA ELENA 早稲田大学, 国際学術院, 准教授(任期付) (40612495)
東野 篤子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60405488)
前田 弘毅 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (90374701)
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研究期間 (年度) |
2016-07-19 – 2020-03-31
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キーワード | エネルギー / 欧州近隣諸国政策 / 東方シフト / 東方パートナーシップ / ユーラシア / ロシア / EU |
研究実績の概要 |
2018年度は、エネルギー安全保障問題とEU・ロシア関係が関連する調査対象となるウクライナとジョージアにおける現地調査を実施した。ジョージアでは、外務省においてアジア・太平洋課長、EU統合課長、国際経済協力課長にインタビューを実施し、NATO・EU情報センターで聞き取り調査を行い、在ジョージア日本大使館大使と面談した。 ウクライナでは、ウクライナ外務省、在ウクライナEU代表部、ラズムコフ・センター(世論調査機関)、経済研究・政策コンサルティング研究所、ウクライナ国立エネルギー研究所を訪問し、インタビューを行った。また、在ウクライナ日本大使館の方々、日本法人のビジネスマンの方々と面談し、現地情勢について知見を得た。さらに、ウクライナ大西洋統合担当副首相クリムプシ=ツィンツァゼ氏と面談した。これにより、予定していた現地調査を完了した。 本研究課題は、(1)コンステレーション理論を導きの糸として、(2)ウクライナ危機の政治・経済的内因、(3)ユーラシア地域を含む広域の欧州秩序の再編過程、(4)国際秩序の再編過程(EU・NATOという制度に媒介された欧州秩序、EU・ロシア・中国関係、世界エネルギー市場等)の相関を明らかにして、(5)そこから日本への示唆を導出することである。 (1)については2017年度に論文・学会報告を行い、共通認識を形成した上で、2018年度の現地調査を行った。(2)については、メンバーが参加してウクライナに関する包括的な書籍を出版した。(3)についてはユーラシア経済同盟に関して、(4)についてはEUの近隣諸国政策やEU・ロシア関係に関して、論文・学会報告を行った。ただし、これらの研究成果を総括し、(5)の日本への示唆を導出する作業が残されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2016年度に、本研究以外の科研費研究課題との調整(1件)、所属機関の改組(1件)、研究代表者を含めた所属機関の移動(2件)など想定外の研究環境の変化があり、予備的な現地調査実施でできなかった。2017年度、2018年度に現地調査の遅れを取り戻すことができ、研究実績の概要に記したように、それぞれの役割分担に応じた研究成果を公表している。しかし、2016年の遅れの影響がまだ残っており、各自の研究成果を共同でとりまとめ、総括を行い、共同研究の成果を公表するには至っていない。 また、その後、コンステレーション理論の前提となる欧米協力関係に軋みが生じ、欧米の求心力の低下、ロシアの東方シフト、中ロの脱ドル化など既存の国際秩序を揺るがす予想以上に激しい変化が生じた。また、エネルギー安全保障を考える上でも、化石燃料を保有している国家の影響力を低減する可能性を持った電動車(EV)とクリーン・モビリティを考慮する必要が生じている。これらの最新動向をフォローする必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
個々の研究分担者、研究協力者の研究成果を総合し、共同研究の成果をとりまとめ、それを社会に還元することが、2019年度の課題である。また、残された研究課題として、本研究から日本の政策への示唆を導出するための協議を行う。具体的には、(1)『ロシア・ユーラシアの経済と社会』誌などに寄稿し、それらを基礎に書籍出版の準備を進める。(2)各所属学会で企画セッションを提案し、主として研究者向けに研究成果の公表を行う。(3)公開講座を開催し、一般向けに研究成果の公表を行う。(4)加えて、新たに電動車(EV)のエネルギー安全保障に与える影響も視野に入れながら、エネルギー安全保障に関する諸説の再検討を行う。EVについては、本共同研究の一環としてEUのエネルギー政策を分析する中で浮上したもので、EUのクリーン・モビリティ戦略が長期的に化石燃料保有国の影響力を低下させ、エネルギー輸入国のエネルギー安全保障を改善する可能性をもつからである。EVに関しては立教大学の研究助成を得て、本科研費研究とは異なる研究分担者の協力を得て予備的研究を開始しており、この研究会と本科研費研究会のあいだでも研究協力を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年度に、本研究以外の科研費研究課題との調整(1件)、所属機関の改組(1件)、研究代表者を含めた所属機関の移動(2件)など想定外の研究環境の変化があり、予備的な現地調査実施でできなかった。2017年度、2018年度に現地調査の遅れを取り戻すことができたが、共同で研究成果をとりまとめ、総括を行い、共同研究の成果を公表するには至っていない。そのため、研究費の使用も当初予定より遅れて残額が生じた。また、コンステレーション理論の前提となる欧米協力関係の軋み、ロシアの東方シフト、中ロの脱ドル化、電動車(EV)のエネルギ安全保障に及ぼす影響などをフォローする必要がある。 このため、次年度使用額は、追加的な資料の購入、外部の専門家の研究会や講演会への招聘、アルバイトなどに使用する予定である。
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