研究課題/領域番号 |
16KT0052
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
阿部 洋 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (80415067)
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研究分担者 |
木村 康明 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (80769977)
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研究期間 (年度) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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キーワード | RNA / 鋳型反応 / DNA / 蛍光 / センサー |
研究実績の概要 |
核酸鋳型化学反応では、2つのDNA鎖の末端に化学反応性の官能基を結合させたプローブ を用いる。2つの化学反応プローブが配列特異的に標的鋳型核酸に結合し、局所濃度が高ま り化学反応が進行する。標的核酸鋳型を触媒として利用し反応回転を起こすことによりシグナル増幅が可能になるが、反応サイクルにおける結合・化学反応・解離の各ステップを高速化することで、高感度な核酸検出が可能になる。今年度は化学反応の高速化の検討を行った。以前までに、チオフェノールを求核剤、7-アミノクマリンのスルホンアミド保護体を求電子的プローブ前駆体とした反応で、既存の核酸プローブ反応と比較して化学反応速度が大幅に向上することを見出している。本反応の求核剤として、より求核性が高く反応速度の向上が期待されるセレノフェノールを選択した。まず、セレノフェノールの活性エステル体の合成を行い、アミノ基末端を持つDNA鎖と結合させた。求電子的プローブ前駆体についても同様に、アミノクマリンのスルホンアミド保護体の活性エステルを合成し、アミノ末端をもつDNA鎖と結合させた。合成した両プローブを用いて鋳型核酸存在下での発蛍光反応の速度解析を行った。チオフェノールを求核剤としたプローブと比較して、若干の反応速度の向上が観測された。今後はセレノフェノール部位の構造誘導化、および求電子的プローブの消蛍光性基の構造最適化により更なる反応速度の向上を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
適切な求核プローブを設計・合成することで発蛍光反応の速度向上を実現できたため。
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今後の研究の推進方策 |
求核剤及び求電子的蛍光前駆体の構造最適化を行うことで、化学反応速度の向上を目指す。また、プローブの核酸部位に非天然骨格や化学修飾を導入することで、結合・解離段階を促進し、反応回転数のさらなる向上を目指す。
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