本研究の目的は、溶液中や生体内の込み合った環境下における水素イオン指数(pH)変化を有効的に取り込んだ新規分子シミュレーション手法(ミクロ定pH-MS法)を確立することである。離散的なプロトン化状態遷移モデルに基づいたミクロ定pH-MS法の開発を行った。さらに、この方法に量子化学計算を導入する改良を行った。この手法を適用することで、有機分子やタンパク質のみならず、金属錯体のような無機化合物における安定構造や活性錯体などの構造情報、およびそれらの運動状態や化学的特性におけるpHに依存した特異的な変化を微視的視点から明らかにした。
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