研究課題
本研究では、血管ネットワーク形成機構の理解を目指し、なかでも特に理解の乏しい血管リモデリングに関するしくみに注目した解析を進めた。初期胚の左右に存在する背側大動脈のうち、片側の血管を閉塞させた際、本来ならそこからリモデリングによって作られるはずの卵黄動脈形成が著しく阻害されたことから、血流というメカノ刺激が卵黄動脈のリモデリングに大きく関わることがわかった。そこで正常胚と血流停止胚を比較したRNAseq解析をとおして、血流によるリモデリングに関わる候補分子の絞り込みを行ったところ、TGFファミリー受容体が有力候補となった。カノニカルなシグナル伝達経路であるSMAD関与はみられなかったことから、SMAD以外の経路を探索したところ、細胞骨格制御に関係するシグナルがみえてきた。本研究ですでに確立した胚内血管網内への直接的遺伝子導入法を用いて、候補因子を強制発現あるいは発現阻害などを行い、候補となったシグナリング経路の特定を進めた。並行して、本研究で観察している血流停止状態における血管リモデリング阻害の現象を説明するための数理モデル構築を進めた(中里氏との共同研究)。これまで試みられたことのない数理モデル候補がいくつか構築され、実際の実験系で観察された現象とフィードバックさせることにより、より本物らしい数理モデルを絞り込んだ。
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Development, Growth & Differentiation
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http://www2.zool.kyoto-u.ac.jp/develop/takahashi.html