動物細胞は細胞分裂時に収縮環と呼ばれるリング状のアクトミオシンバンドルを形成し、その収縮力によって細胞はくびれて分裂する。我々は収縮環の形成・収縮メカニズムを解明するために、精製したアクトミオシンとアクチン線維の束化因子を細胞サイズの油中液滴に封入し、in vitroで収縮環様の構造の自己組織化と収縮に成功した(Nature Cell Biology 2015)。本研究課題ではこの再構成システムと1分子力学計測システムを用いて、収縮環動態の階層的理解を目標とする。
今年度は、動物細胞において収縮環の形成と収縮を制御していると考えられる調節因子のうちフォルミン、プロフィリン、アニリン、コフィリンの大腸菌発現系を構築し、遺伝子組み換えタンパク質の発現と精製を行った。またファッシンやフィンブリンなどの、アニリンとは別のアクチン線維束化タンパク質の発現系の構築も行った。
これらのタンパク質の活性を、各種生化学的手法や顕微鏡を用いた実験で定量化しつつ、それらのタンパク質を油中液滴に封入した再構成系において、収縮環様のアクチンリングが形成される確率と各種制御タンパク質の濃度などの関係を定量化した。
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