研究課題/領域番号 |
16KT0082
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉田 邦彦 北海道大学, 法学研究科, 教授 (00143347)
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研究分担者 |
遠藤 乾 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 教授 (00281775)
辻 康夫 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 教授 (20197685)
丸山 博 室蘭工業大学, 工学研究科, 名誉教授 (70281871)
ゲーマン・ジェフリー ジョセフ 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (80646406)
井上 勝生 北海道大学, 文学研究科, 名誉教授 (90044726)
上村 英明 恵泉女学園大学, 人間社会学部, 教授 (90350511)
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研究期間 (年度) |
2016-07-19 – 2020-03-31
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キーワード | 先住民族 / 補償 / 歴史的不正義 / 市民権 / 移民・難民 |
研究実績の概要 |
1)この時期は、アイヌ民族問題、とくにその補償問題の実証的・政策的分析に当てられた。すなわち、既存研究の継続とともに、実践的な取り組みとして、分担者丸山・上村と「アイヌ政策検討市民会議」を立ち上げ(2016年4月)、アイヌ民族の支援を受けつつ複数回行った(今後も継続予定)。その課題は、①共有財産の問題(分担者井上も報告)、②ダム問題、産廃施設などの環境的不正義、③森林認証との関係での先住権保護の動き、③盗掘アイヌ人骨、副葬品の返還問題、④アイヌ歴史教育の偏向問題(副読本、教科書検定など)と山積し、これを補う企画もあり、例えば、2016年7月への浦河への遺骨再埋葬には分担者ゲイマンも参加し、私も事後的聞取りを行った(11月)。また、さっぽろ自由学校の関連企画で分担者丸山ともどもレクチャーし(10月から)、偏向アイヌ歴史教育に関する大きなシンポも開催された(2017年2月)。
2)海外の先住民族問題の比較法研究としては、第1に、ウィルキンソン教授(コロラド大学)の先住民族の漁業権復活に関する講演があり(7月30日)、事後的に意見交換し(10月末)、第2に、ニューメキシコ大学ロースクールを訪問し(2017年1月)、プエブロインディアンの動向調査、複数教員との意見交換を行い、第3に、アラスカ大学には、北大との提携計画との関係で、複数回訪問し(2016年4月、10月など)、アラスカ原住民の状況の聞取りをし、第4に、近時議論が集まるノースダコタ州スー族のパイプライン問題についても調査した(2017年2月)。さらに第4に、オーストラリア国立大学でもアイヌ問題の講演を依頼され、同国のアボリジニ問題に関して意見交換した(同年3月)。なお、済州島の悲劇の補償問題については、ハワイ及びDCの会議で検討を深めた(2016年9月)。
4)他方で、移民問題の分析は不十分で、次年度以降行うこととなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
アイヌ民族問題については、市民会議の立ち上げを契機に、様々な企画が集中的に現われ、予想以上の進展を見た。それに伴う事務的な仕事も増大したが、アイヌ民族の組織的連携的な効果も生じて、社会的責任も実感している。
それとともに、諸外国の先住民族の動向調査や国際交流もかなり進捗し、海外での講演要請も増えている。東アジアの補償問題についても、国際交流は増大している。
しかし他面で時間不足であまり進捗できなかった、移民・難民問題は、当初の予定通りに、次年度以降に(先住民族などの補償問題と有機的に連携させつつ)展開させたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
先住民族の補償問題研究は、今年度の研究の続行に尽力するとともに、移民・難民問題については、既に関係教員の招聘を予定しており(2017年6月)、それを契機に研究を加速させて、その成果を期したい。その際には、その方面のエキスパートである分担者遠藤などと連携して、鋭意進める予定である。
済州問題を契機とする東アジアの補償問題及びその比較法的研究についても、国際会議を予定していて(同年5月)、その更なる進捗を目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担者の予定していた出張が、繁忙のためにできなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の海外出張などでその分対処することとする。
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