研究課題/領域番号 |
16KT0102
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
梅田 靖 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40242086)
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研究分担者 |
松本 光崇 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (00443226)
上須 道徳 大阪大学, COデザインセンター, 特任准教授(常勤) (50448099)
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研究期間 (年度) |
2016-07-19 – 2020-03-31
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キーワード | 人工物工学 / 現地主義ものづくり / サステナブルデザイン / 設計方法論 / 適正技術 / LOMan |
研究実績の概要 |
本研究では現地主義ものづくり、略してLOMan (Local Oriented Manufacturing)を提案する。LOManは、南北問題の緩和、特に、南側のニーズと北側の先進的なものづくり技術、環境配慮技術を結びつけwin-winの関係を築くことを通じて世界のサステナビリティに貢献する大きな可能性を持つ。しかし、その本質的な構造やその支援方法は明らかではない。本研究は、地域とそこに適した製品の関係性をモデル化し、現地主義ものづくりのための設計方法論とその実装としての設計支援システムを提案することを目的とする。 本年度は、事例収集、分析を中心に活動を行った。中国・雲南省、ベトナム・ホーチミン市で昨年度に引き続き定点調査を行い、LOManが実施されている製品事例を収集することができた。特に、雲南省・プーアル市で家計調査を実施し、約40件のデータを収集することができた。また、提案するLOMan設計方法論のケーススタディ対象の一つとして中国・雲南省の太陽熱温水器が適当であるとの感触を得た。さらに、別のケーススタディ対象と想定している自動車部品のリマニュファクチャリングに関して、マレーシア、および、タイで修理用自動車パーツ購入の意思決定に関わるWebアンケート調査を実施した。これにより、必要な情報を得ることができた。 さらに計画の前倒しであるが、LOMan設計のケーススタディとしてモンゴルで水車を設計、製作する機会を得た。LOMan設計方法論は開発途上であり、その適用は必ずしも行えなかったが、実際にLOMan設計を実施することにより貴重な知見を得ることができた。 LOMan設計方法論の開発に関しては、昨年度提唱した「タスク」とそのタスクを実施する際に影響を与える「地域性」に注目したLOManモデルスキームを実装し、所定の成果を挙げることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度計画していた事例収集、分析が順調に進展した。当初の想定よりも多くの途上国の現地調査、および、Webによるアンケート調査を実施することができた。さらに、計画を前倒ししてモンゴルにおいてLOMan設計を実施できたことは大きな成果である。LOManモデルスキーム、LOMan設計方法論についてはタスク中心のモデリングについて順調に方法論を開発することができた一方で、それを活用してどのように設計上のヒントを得るかについてより一層の工夫が必要であることも明らかになったので、この点は来年度以降継続して研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
H30年度は方法論の開発とケーススタディの実施を並行して進める。まず、これまで収集した事例を一度体系的に整理する。ケーススタディに関しては、これまで収集した知見、人的ネットワークをもとに、実施するケーススタディを選定する。方法論の開発については、LOManモデルスキーム、LOMan設計支援システムの構築を進め、ケーススタディに適用することを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に実施するケーススタディに費用がかさむことを想定し、今年度は予算を節約して執行して、来年度に回した。
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