研究課題
本研究では,予期せぬ外的要因(センサ故障や環境変化など)及び内的要因(プログラムバグなど)に対して,宇宙機におけるコンピュータシステムを強化するために,宇宙線によるビット反転を利用したプログラム進化を展開し,システム強化を実現する機能設計の確立とその有効性の検証を目指す.その目的達成に向けて平成30年度では,異なる目的を持つプログラムへと進化する可塑性を「環境変動に対応して変化する(目的"変更"許容型)可塑性」の1つとして捉え,何らかの外的要因によってミッションが達成できないと判断された場合,新たに生成した目的を達成できるようにプログラムを進化させる機構に着手した.その後,今まで考案してきた4つの機能強化を組み込んだローバをロケットに搭載してサブオービタル(大気圏内)打ち上げ実験を行い,その有効性を検証した.具体的には,目的"変更"許容型可塑性に関しては,状況に応じた月面探査機の着陸候補点を探すために,複数の目的の異なる着陸点を複数獲得可能な手法を考案し,アルゴリズムの性能を競う進化計算コンペティションで多目的部門2位を獲得した.また,サブオービタル打ち上げ実験に関しては,A Rocket Launch for International Student Satellites 2018にて,コントロールの正確性に関するAccuracy Award,高度な地上移動技術に関するTechnology Comeback Award,ミッションの新規性に関するMission Awardを同時に受賞しただけなく,ローバの完成度(システム強化に関連)と将来性が評価され,大学宇宙工学コンソーシアムから最優秀賞であるUNISEC Awardを受賞した.さらに,その成果の一部はIEEE CIS Japan Chapter Young Researcher Awardとして評価を受けた.
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