研究課題
本研究は,ヒトパピローマウイルス(HPV: human papilloma virus)による子宮頸がん発症過程の解明による予測システムの開発と,その過程への介入による発症予防のための基礎研究を行うことで,以下の項目を目標として挙げた。1.子宮頸がん検診で得られたパップスメアからヒトパピローマウイルスゲノムの塩基配列決定を行う。2.L1タンパクによるHPVの系統分類をおこない,L1タンパクと相関する初期遺伝子型を探索する。3.子宮頸がん(上皮内ガン等の初期がん)患者から得られたパップスメアを利用して,がん化組織特異的なウイルスゲノムの integration site の探索を行う。4.Exome 解析による高odds比 発症関連バリアント探索を行う。平成30年度までに,パップスメアから抽出したDNA約325例の HPVの型判定(ウイルスゲノム塩基配列決定)とTP53, NOTCH1 などの子宮頸がん関連遺伝子約10遺伝子(ヒト遺伝子)の塩基配列決定を終了した。現在 DNA 解析を進めている。L1領域のみを使った検査としての HPVタイピング法と型判定の結果には大きな違いはなさそうであったが,パップスメア内のHPVのコピー数には大きな違いがある。
4: 遅れている
本研究において,HPV型と患者の最終的転帰が必要である。HPV型判定については,実験室での作業であり順調に進んだが,患者転帰の情報は個人情報であるため,これに時間を要している。
HPVのコピー数や変異と予後(5~10年後の帰結)についての相関について解析を進め,パップスメアからの HPV ウイルスゲノム解析による予後判定法確立,ヒトゲノム内の integration site 同定による予後判定法確立,ワクチン候補となる共通領域検索を進めていきたい。特に,患者転帰とHPV型,HPVゲノムシーケンスとの相関を確認する必要があり,早々に患者転帰情報を収集する。
本年度は,患者情報が収集出来た後のゲノムシーケンス,解析費用として考えていた分が,患者転帰情報の収集に手間取り,予算消化が進まず,翌年へ予算の繰り越しとなった。一年間の研究期間延長が認められており,最終年度に向けて,これまでの結果を統合して目標達成を目指す。
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