HLA(human leukocyte antigens:ヒト白血球抗原)遺伝子は、さまざまな免疫系疾患の感受性遺伝子であり、自己免疫疾患、感染症、腫瘍免疫、薬剤副作用(薬疹)等と強く関連する。HLA遺伝子型に基づいた個別化医療を実現するためには、HLAと疾患との関連の機序解明、そして、治療法開発につながる要素技術の開発が必要である。HLAは自己・非自己ペプチドを提示し獲得免疫応答に関わり、遺伝子多型の多くがペプチド結合溝に見られることから、HLAが提示する抗原ペプチドの同定・予測手法を確立することにより、個々の疾患機序の解明が大きく進展すると期待される。これまでHLAクラスIIについては、結合モチーフを基にした結合ペプチド配列予測法が複数提唱されているものの、実際の測定値や結合パターンとの乖離は大きく、今後改良出来る余地は大きい。HLA結合ペプチド予測をより精度高く行うためには、まず、定量性、再現性に優れたアッセイ法を確立し、そのような測定系でHLA-ペプチド相互作用を大規模に解析する必要がある。本研究では、申請者が開発したHLA発現アッセイの手法改良、多数のHLAアリル・抗原の組み合わせへの応用、T細胞予測能の検証に向けた解析を行った。手法改良についてはオートサンプラーを用いたフローサイトメトリーを用いることにより解析の労力を低減したが、自動化は達成しておらず今後、継続して取り組む必要がある。多数のHLAアリル・抗原の組み合わせでの応用は、外来抗原、内在抗原を対象とした解析を行った。手法開発については現在、論文投稿準備中である。
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