研究課題/領域番号 |
16KT0120
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木村 友美 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (00637077)
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研究分担者 |
笠原 順子 湘南医療大学, 保健医療学部看護学科, 助教 (40737540)
石本 恭子 三重大学, 医学系研究科, 助教 (50634945)
岩崎 正則 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (80584614)
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研究期間 (年度) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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キーワード | 高齢者 / フレイル / 国際地域間比較 / タイ / アジア |
研究実績の概要 |
本研究では本邦およびタイの高齢者において虚弱(フレイル)の医学的評価を実施し、運動機能に加え、うつ・QOLといった心理的健康、社会的背景との関連を分析することで、虚弱高齢者の健康状態を複合的視点から解き明かすことを目的とし、データ収集を行った。平成28年度はまず、米国老年医学会が提唱し広く用いられているFriedのフレイル指標を用いて、高知県土佐町およびタイ・ナコンパトムの地域に暮らす高齢者のフレイルを評価し、身体的・心理的な健康、栄養・口腔の状態、認知機能の低下、社会的背景因子との関連を分析した(文献1)。特にタイの調査に参加した高齢者では、教育歴と口腔機能、フレイルが密接に関連していることが明らかになった。フレイル概念のなかで特に筋力低下を含む栄養状態の低下(サルコペニア)を評価したところ、口腔状況が悪い集団においてよりサルコペニアがみられ、これを論文発表している(文献2)。また、フレイルをより多面的にとらえるため質的調査も実施した。高齢者自身が「フレイル」をどうとらえているか、についての土佐町でのインタビューでは、加齢と共に低下する機能や日常生活についての語りは、身体的な苦痛(足腰の痛みなど)や疾患について集中していた。一方でタイの高齢者では、「フレイル」は自然の老いの流れに沿うものという認識から、フレイル自体が「老い」の文脈で語られるものであった。
文献 1.Iwasaki M, Yoshihara A, Kimura Y, et al. Longitudinal relationship of severe periodontitis with cognitive decline in older Japanese. Journal of Periodontal Research.2016;51(5):681-8. 2. Iwasaki M, Kimura Y, Ogawa H, et al. The association between dentition status and sarcopenia in Japanese adults aged 75 years. Journal of Oral Rehabilitation.2016;44(1):51-58
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、高知県土佐町およびタイ・ナコンパトムの地域に暮らす高齢者のフレイルを評価し、他の健康因子との関連を統計的に分析し、結果を3本の論文にて発表した。
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今後の研究の推進方策 |
「フレイル」に関する質的研究をより深め、今後は地域間比較をおこなうことで地域の特性を明らかにしたい。また、今年度十分に検討できなかった心理的健康度との関連についての調査も強化する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
フレイルに関連する心理的健康度の調査について、十分に調査が進まなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は心理的健康度の調査を、うつ傾向、QOLに注目して進める。
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