研究課題/領域番号 |
16KT0125
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
松田 陽子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (20363187)
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研究分担者 |
松下 晃 日本医科大学, 医学部, 助教 (70449263)
石渡 俊行 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (90203041)
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研究期間 (年度) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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キーワード | 膵臓 / 老化 / 幹細胞 / 前駆細胞 / 癌 / 糖尿病 / 病理 / 解剖 |
研究実績の概要 |
加齢に伴い、膵臓では実質細胞の減少と脂肪細胞の蓄積、及びインスリンを分泌する内分泌細胞の減少や外分泌細胞である膵管上皮の腫瘍性変化が生じ、膵臓の加齢性変化は糖尿病や膵癌の発症の原因となるため、健康寿命に大きな影響を及ぼす。 多分化能、自己複製能を有する組織幹細胞/前駆細胞は、膵臓の恒常性維持と組織再生を担う。膵臓の組織幹細胞の存在部位や発現マーカーについては、動物実験や培養細胞を用いた検討が中心であり、ヒトでは解明されていない。 本研究では病理解剖症例検体を対象し、乳幼児期、青年期、高齢期等の各年齢層や糖尿病、膵炎、膵癌等の各疾患の膵組織について、加齢に伴う組織幹細胞の数の変化、機能の変化、また糖尿病や癌、膵炎等の病的状態に伴う生体内での変化を明らかにする。本研究によって、組織幹細胞を標的とした修復機能改善による治療的老化制御法の開発につなげることを目指す。 昨年度は前駆細胞マーカーとしてテロメア長、およびSOX9の発現を検討した。その結果、テロメア長は加齢とともに減少した。SOX9陽性細胞は、膵臓の外分泌細胞に少数認められ、膵管周囲の腺組織であるpancreatic duct glandと腺房中心細胞に陽性細胞を多く認めた。ラ氏島、腺房はSOX9陰性を示した。また、小児、若年者ではSOX9陽性細胞を膵組織内に多数認めたが、加齢とともにSOX9陽性細胞数の減少を認めた。また、膵癌組織では、癌細胞にSOX9発現を高頻度に認めた。 以上より、SOX9陽性を示す膵組織幹細胞の数が加齢とともに減少することが、長いテロメアを有する細胞の減少と一致して生じていた。加齢とともに進行するテロメア機能不全は、組織幹細胞にも生じ、このような変化が膵臓の発癌過程において重要な役割を担う可能性があると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バイオリソースセンター保有の検体を用いているため、順調に実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、ヒト検体を用いた研究を実施し、今年度は統計解析の予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文投稿、学会参加の予定を変更したため、それらに関連する費用を使用していない。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度使用する予定。
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