研究実績の概要 |
本年度の実績は以下のとおりである:1)生命科学でよく扱われる生体分子の制御ネットワーク結合系を区分線形な常微分方程式系とそれの連続系への摂動系として捉え、その性質を抽出したswitching systemとして数学的に定式化した。前年度では、2次元の場合に限っていたが、一般次元で定式化する方法について確立し、まず、きつい条件の元で、位相的計算理論を用いて、大域的構造を求める理論を構築し、それを摂動した一般のベクトル場についてもモース分解が存続することを示した。現在、この条件を弱めた場合について、議論を進めており、論文はきつい条件の元ではほぼ完成している。(T. Gedeon, H.Kokubu, k.Mischaikowらとの共同研究。) 2)gene regulartory networkなどの複雑なネットワーク・ダイナミクスの時系列データから、大域的構造を復元するための理論の構築と計算を行った。これは、Fiedler,Mochidukiらの研究におけるregulatory networkのFeedback vertex set の考え方を時系列データに対して拡張したものであり、この考えかたは、アトラクタのみでなく力学系の大域的構造を再現するもので、Takensの力学系の時系列解析を発展させたものである。この結果については、University of Aukland, AMS conference ,MCA2017で講演した。論文は執筆中である。 3) 離散力学系とそのサスペンションとして得られる連続力学系のConley indexの関係をMrozekのConley index over the circle という観点から考察した。この結果は、2018日本数学会年会で講演した。
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