研究課題/領域番号 |
16KT0141
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
加藤 健太郎 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授 (30401178)
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研究期間 (年度) |
2016-07-19 – 2020-03-31
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キーワード | 食料循環 / 原虫感染症 / 農林水産生態 / 分子疫学解析 |
研究実績の概要 |
我々は、太陽、水、耕地を利用し、循環する自然を巧みに使いながら持続的に再生する食料生産を行ってきた。このような食料循環の中で、原虫感染症はウイルス、細菌感染症等とともに、動物由来の食料の生産性を著しく低下させてきた。昨今のBSE、鳥インフルエンザ、口蹄疫による国際的な問題の露見と我が国における畜産業の甚大な被害を鑑みるに、感染症による食料生産の低下、すなわち食料循環の遮断は、畜産動物への直接的な感染による生産効率の低下だけではなく、風評被害による食料流通の停滞や国際的な食料安全保障の問題等にまで影響を及ぼす。本研究では、食料循環の観点から畜産動物に由来する食肉の食料生産を阻害する原虫感染症に焦点を当て、北海道を含めた我が国の畜産現場及び国外のフィールドにおける分子生物学及び病理学的疫学解析、動物モデルによる感染 実験、原虫共生ウイルスによる原虫感染地域の同定、原虫感染診断系、実験室でのin vitro培養系の確立を行うことにより、食物に関わる家畜及び野生動物、微生物の生命活動の研究と、それを育む自然環境を長時間軸での物質循環システムとして捉えなおす農林水産生態の解析を行うことを目的とする。本年度は、クリプトスポリジウム感染牛及び野生コウモリの腸管サンプルを採取し、原虫特異的な抗体を用いた病理学解析と電子顕微鏡解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、クリプトスポリジウム感染牛及び野生コウモリの腸管サンプルを採取し、原虫特異的な抗体を用いた病理学的検出と電子顕微鏡解析を行った。以上のことから、今年度の研究計画はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに行ってきた国内外のフィールドにおける分子疫学解析をさらに発展させ、他のウイルス感染症を含めた家畜や野生動物における感染動態の解析を行う。また、原虫に共生するウイルスを用いた分子疫学解析、病理学解析、電子顕微鏡解析も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
クリプトスポリジウムの実験室での培養系の確立に向けて実験を進めてきたが、当初予定していた実験系では十分量の虫卵をマウス糞便中から得ることができなかったため、実験系を変えて実験の実施を行う必要が生じたため。 クリプトスポリジウムの実験室での培養系の確立のための消耗品、学会発表旅費を申請した。
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