研究課題
有機質肥料活用型栽培は、これまでの水耕栽培と異なり、直接栽培系に有機物を施肥でき、資源循環型水耕栽培の実現が期待される新しい栽培法である。本栽培法は、有機物の無機化を行う硝化工程と栽培工程で構成される。我々は、この硝化工程における窒素動態と菌叢推移をDGGE解析により明らかにし、従属栄養細菌による有機物の分解、引き続くアンモニア酸化、亜硝酸酸化に関わる大きく3種類の菌群の機能で耕水工程が成り立っていることを示した。この知見に基づき、従属栄養細菌であるBacillus badius と硝化菌の3菌系にて、有機物の効率的な硝化を実現した。さらにこれまで硝化が可能な有機物濃度は2g/Lが上限であったが、新たに単離した従属栄養細菌Delftia属細菌を活用し、3菌系硝化反応を行うことで、10g/L(fish soluble)の高濃度有機物条件下においても硝化が可能であることを明らかにした。また、既存の硝化菌を活用し、コロニーの肥大化の条件の精査を行った。その結果、培地固化基剤、培地量、培地組成、微量元素、菌体塗布量、温度、湿度、二酸化炭素濃度など最適な条件下で培養することで、釣菌に昼用な培養時間を1ヶ月から2週間に短縮することに成功した。同時に硝化菌の安定した継代培養法を確立し、硝化菌の生残性の正確な評価が可能となった。さらに、見出したコロニー肥大化の条件のもと37℃以上で活性を示すアンモニア酸化菌、亜硝酸酸化菌の単離に成功した。単離した硝化菌と従属栄養細菌との3菌系共培養によりこれまで困難であった37℃以上の条件において良好な硝化を実現した。
すべて 2019 2018
すべて 学会発表 (14件) (うち招待講演 5件)