現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、前年度までの研究結果を踏まえフィールドではなく、より厳密に環境条件を制御したガラス室内でサンプリングを行い、線虫の接種の有無と土壌微生物構成をよりダイレクトに比較することを目的とした。また、土壌からの核酸抽出キットは複数知られているが、その違いで検出される土壌微生物相に違いがみられるかも検証した。用いた核酸抽出キットはISOIL Beads Beating kit(ニッポンジーン社)とPowersoil DNA Isolation kit(MO-BIO)である。核酸抽出後16S rRNA遺伝子のV3-V4領域を対象とするPCR増幅によりMiSeqシーケンス用ライブラリを作成した。MiSeqによるシーケンスの結果、合計13,555,308ペアリードを得た(各サンプルにおけるリード数の範囲 : 96,324~906,978)。QIIMEを用い、ペアエンドリードの連結、クオリティチェック、キメラ配列の除去等の処理を行った結果、合計10,762,952リードを得た。各サンプルについて80,000リードを抽出し、微生物構成や多様性を調査した。その結果、線虫接種後の土壌サンプルの微生物多様性が他のサンプルと比較し最も低いことが示された。また、同じ土壌サンプルを試料としたにも関わらず、異なる核酸抽出キットを使用したサンプル間では、土壌微生物構成に大きな違いが確認された。よって、用いる核酸抽出キットの選択は菌叢解析結果に重要な影響にもたらすと考えられた。
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