研究課題/領域番号 |
16KT0150
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
上田 晃弘 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (10578248)
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研究期間 (年度) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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キーワード | 可給態リン供給細菌 / バイオフィルム / 根圏定着能 |
研究実績の概要 |
農作物生産において大量に消費される肥料の三要素のうち、窒素資源は大気中に無限に存在するが、リンとカリウム肥料のもとになる鉱石資源は日本ではほとんど産生されない。よって、これら肥料資源の有効利用技術の開発は我が国の持続的農業生産のためには喫緊の課題であるといえる。肥料の三要素のうち、リンは土壌中に蓄積されやすい。施肥されたリンのうち、多くは難溶性リンや有機態リンとして蓄積される。これらの土壌に蓄積された未利用リン資源の有効利用技術の開発を目指して、本研究では可給態リン供給細菌(難溶性リン可溶化細菌やフィチン分解細菌)を作物栽培に利用する技術の開発を行う。可給態リン供給細菌の実用化面での課題は、作物根圏での定着能の低さにあるといわれている。そこで初年度は、可給態リン供給細菌を用いて作物根圏での定着能に寄与すると考えられているバイオフィルム形成能の改良を行った。トランスポゾン変異株ライブラリーを作成し、バイオフィルム形成能が向上した可給態リン供給細菌の作出を行った。その結果、バイオフィルム形成量がおよそ20倍向上した変異体の単離に成功した。さらにトランスポゾン変異株集団をイネ根圏に接種し、根圏に定着した細菌種の単離方法の確立を行うことで、イネ根圏での定着能が向上した細菌変異株の単離にも成功した。後者の方法で単離された変異株は、バイオフィルム形成を介さない方法でイネ根圏での定着能が向上した変異株であると予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バイオフィルム形成能が向上した細菌変異株の作出に成功しており、計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に得られた細菌変異株を用い、計画通りに作物種子への接種方法の検討を行う。
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