本研究の目的は,暴力を生み出す“集団心理”を実証的に解明することであった。本来暴力を嫌っている人間が,ある場面で暴力を振るうようになるのは一体なぜなのだろうか。本研究が着目したのは暴力誘発装置としての集団の役割である。集団暴行,集団非行,暴動,いじめ,民族紛争とジェノサイドなど,多くの暴力行動は集団で行われる。本研究では,これらの個別テーマの研究の中で散発的に触れられてきた集団が持つ暴力性に対して,集団過程という視点からの統合的理解を試みてきた。本課題期間の中では,集団暴力と集団間紛争に関する書籍の執筆と論文執筆を行った。
|