研究課題/領域番号 |
16KT0157
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
林 勇吾 立命館大学, 総合心理学部, 准教授 (60437085)
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研究期間 (年度) |
2016-07-19 – 2021-03-31
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キーワード | 協同問題解決 / 認知的タスク分析 / 電子ネットワーク / 視点取得 / バイアス |
研究実績の概要 |
今年度は,まず,予定されていた計画にあった電子ネットワーク上での集団における葛藤解決のための対話のデザインとは何かを探るための検討を行った.ここでは,Hayashi(2018, Cognitive Science)の実験パラダイムに基づきグループメンバーの振舞い方を操作した実験を行った.続いて,前年度の成果から,これまで集団内でのダイナミックスが生じる場面での検討だけでなく,他者認知や対人レベルでの詳細なコミュニケーションのプロセスに関する検討も必要であることが示唆されていた.そこで,今年度は集団を形成するよりミクロな単位である対人レベルにおける葛藤解決時におけるコミュニケーションも視野に入れた検討も行った.この研究では,本研究で扱う課題状況において収集された会話の分析を米国カーネギーメロン大学のKoedinger氏と共同研究として行った.具体的には,Cognitive Task Analysisという分析手法を用いて,話者が課題に中に葛藤を生成した際の共通理解の構築(Grounding)にどのような特徴があるのかを検討した.共通理解の構築に関わる発話を全てプロダクションルールの形式で書き出した結果,共通理解の構築の成功には,話者が指示する内容に関する複数の特徴を組み合わせて説明していることが明らかになった.この分析の成果はCogSci2019で発表を行った.加えて今年度は,電子ネットワークを利用した「協同学習場面」での葛藤を含む課題にも着目して検討を行った.そこでは,課題に取り組む際にどのような種類の「感情」や「発話」が利用されているのかについて検討を行い,それぞれ国際会議(ITS2019,ICCE2019)で査読付き国際会議論文として研究発表を行った.ITS2019では,Best Full Paper Awardにノミネートされた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の通り,本年度はHayashi(2018, Cognitive Science)の実験パラダイムに基づいた新たな実験の実施や同パラダイムを用いた対面場面での会話分析,教育場面での検討など幅広く研究を展開した.しかしながら,これらの主要な結果をまとめ,雑誌論文でその内容を公表するには至らなかった.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,これらの成果の一部を論文にまとめ,査読付きの雑誌論文に投稿したい.そして,予定していた本研究の内容を完了したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度に行った研究の内容の一部を国外の雑誌に投稿するための論文執筆に時間を要する.また,次年度使用額は,英文校正のために利用する予定である.
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