現代における紛争や対立をもたらしている一つの要因として,電子情報通信技術をはじめとしたテクノロジーの発展がある.オンライン上では,人間が持つネガティブな感情が思考の範囲を狭めてしまうバイアスが増幅されやすくなることが心理学分野で明らかになっている.しかし,ネットワーク上でどのようなコミュニケーションを通じて感情が生起・伝達され,個人の思考や葛藤に影響しているのかを体系立てて検討した研究は多くない.これまで,この点を実証的に検討するための実験パラダイムを考案し,独自にインタフェースを構築して総合的に検討した研究は行われておらず,この点において本研究には学術的に意義があるといえる.
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