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2018 年度 実績報告書

脳内の秩序的構成原理と並立して同じ組織空間を共有する無秩序構成原理の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16KT0174
研究機関熊本大学

研究代表者

福田 孝一  熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (50253414)

研究期間 (年度) 2016-07-19 – 2019-03-31
キーワード介在ニューロン / パルブアルブミン / GABA / 樹状突起
研究実績の概要

前年度に行った歯状回の解析をふまえ、最終年度は歯状回におけるPVニューロンネットワークの解析を重点的に行った。顆粒細胞層/hilus境界面において二次元的な分布を示すPVニューロンの細胞体の配置がランダムであることの意義を考える上で、個々の細胞体から伸びる樹状突起の形態が重要である。共焦点レーザー顕微鏡デジタル画像をコンピューターによりトレースし解析を行った結果、basal側の樹状突起も、顆粒細胞層/hilus境界に平行な二次元空間内において大きく側方に展開していることを見出した。さらにそれらの樹状突起は密に重なり、相互の間に多数のギャップ結合を形成していることを明らかにした。またbasal側樹状突起へのシナプス入力を形態学的に検討した。顆粒細胞の軸索はmossy fiberとしてCA3錐体細胞に向かい、途中必ず顆粒細胞層/hilus境界面を通過することになるが、PVニューロンの樹状突起上に非常に密にbouton contactを形成していた。顆粒細胞層/hilus境界面に分布するPVニューロンが、顆粒細胞の細胞体近傍にGABAシナプスを形成するため、このような構造はPVニューロンがfeed back回路による抑制性制御を担うことを強く示唆する。すなわち、海馬CA1領域の上昇層/海馬白板境界のPVニューロンと同様に、歯状回においてもfeed back制御に関わると考えられるPVニューロンがランダム配列をとっていることが明らかになった。これらの結果は、記憶形成に本質的な役割を果たす海馬における情報処理過程において、GABAニューロンネットワークに無秩序的な構成がみられることを結論づけるものである。以上の成果を、第124回日本解剖学会のシンポジウムにおいて発表した。さらに秩序的構成が顕著である体性感覚皮質バレル野における研究成果をCerebral Cortex誌に論文発表した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Gap Junctions Interconnect Different Subtypes of Parvalbumin-Positive Interneurons in Barrels and Septa with Connectivity Unique to Each Subtype.2019

    • 著者名/発表者名
      Shigematsu N, Nishi A, Fukuda T
    • 雑誌名

      Cerebral Cortex

      巻: 29 ページ: 1414-1429

    • DOI

      10.1093/cercor/bhy038

    • 査読あり
  • [学会発表] 海馬と新皮質の制御系を構成するGABAニューロンがギャップ結合を介して連結するネットワークを既知の神経回路にいかに組み込むか?2019

    • 著者名/発表者名
      福田孝一
    • 学会等名
      第124回日本解剖学会総会・全国学術集会シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 体性感覚野ミニバレル領域におけるパルブアルブミン陽性ニューロンの分布と形態の3次元的解析2019

    • 著者名/発表者名
      重松直樹、福田孝一
    • 学会等名
      第124回日本解剖学会総会・全国学術集会
  • [学会発表] 形と機能の本質に迫るためのさまざまな顕微鏡解析技法2018

    • 著者名/発表者名
      福田孝一
    • 学会等名
      第60回日本顕微鏡学会九州支部集会・学術講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] Gap junctions mediate the connectivity among different subtypes of parvalbumin-positive interneurons in layer 4 of the mouse barrel cortex.2018

    • 著者名/発表者名
      Naoki Shigematsu, Takaichi Fukuda
    • 学会等名
      Neuroscience 2018
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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