本研究では、遺伝子発現リズムの発振原理解明を目指し、Cas9人工転写因子を用いた新規遺伝子回路を設計し、転写フィードバックループに基づく遺伝子発現振動の作出を試みた。現時点では発現振動の作出には至っていないが、人工転写因子によって内在性遺伝子発現を制御しうるという結果が得られている。また、概日時計を構成するコアループ(1次ループ)とサブループ(2次ループ)のうち2次ループの構成因子であるREV-ERBα/βの二重欠損細胞を作製し、時計遺伝子PER2の発現リズムを調べたところ、野生型と遜色ないリズムが観察された。このことから、概日時計は単一の転写ループのみで成立する可能性が示唆された。
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