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2017 年度 実施状況報告書

生体リズムによる多細胞体構築原理の理解

研究課題

研究課題/領域番号 16KT0177
研究機関東邦大学

研究代表者

村本 哲哉  東邦大学, 理学部, 講師 (10612575)

研究分担者 上村 陽一郎  国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 上級研究員 (20321599)
研究期間 (年度) 2016-07-19 – 2019-03-31
キーワードライブセルイメージング / 遺伝子発現動態 / シグナル伝達
研究実績の概要

遺伝子の転写がオン・オフを繰り返す様子を長時間可視化するシステムを用い、未分化状態では無秩序な振る舞いに見える転写動態が、発生分化が進行するに伴い細胞集団で同調的なリズムを生み出しながら多細胞体構築する様子をとらえてきた。現在、この生体リズムを制御する因子を理解するため、周期的な局在変化を示す転写因子の同定を行うとともに、周期的な変化を生み出すシグナル伝達経路のタンパク質のリン酸化状態を可視化するプローブの開発を進めている。多細胞体構築過程での転写因子のイメージング解析の結果、作製した155の発現株の解析が終了し、その中から約6分という短い周期で核-細胞質間を行き来する転写因子を発見した。この局在変化には、転写因子における約6分おきのリン酸化と脱リン酸化が関与しているのではないかという可能性を示唆する結果が得られている。さらに、周期的局在変化を示す別の転写因子や周期的なオン・オフを繰り返す遺伝子の転写との同時イメージングを行うことで、この生体リズムの特徴の解析を行っている。リン酸化タンパク質の可視化では、プロテインキナーゼB(PKB)の基質タンパクがリン酸化されると、蛍光タンパク質の立体構造が変化し、蛍光輝度が増減するプローブの開発を進めてきた。リンカーの長さや膜局在化を変えた複数のコンストラクトを用い、リン酸化刺激後の蛍光輝度の変化を解析したところ、現在のところわずか数%しか変化が見られず、効率化には至っていない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

多細胞体構築過程での転写因子の解析によって、周期的局在変化や約6分おきのリン酸化と脱リン酸化という興味深い結果が得られた一方、リン酸化タンパクの蛍光プローブ開発では、期待された効率は得られていないため。

今後の研究の推進方策

これまでに得られた周期的局在変化を示す転写因子および周期的なオン・オフを繰り返す遺伝子の転写動態を同時に可視化する。これらを指標にシグナル刺激の周期や強度に変調を加えた際の変化を解析する。

次年度使用額が生じた理由

本年度にリン酸化タンパクの状態をモニタリングするプローブの開発を行い、その結果をもとにイメージング解析を行う予定であったが、プローブの効率が期待したほどではなかったためこの部分の解析を行わなかったことから、未使用額が生じた。イメージング解析と学会発表を次年度行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)

  • [国際共同研究] MRC分子生物学研究所(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      MRC分子生物学研究所
  • [学会発表] ユニークな生活環を持つ真核生物「細胞性粘菌」のモデル生物としての研究の魅力2018

    • 著者名/発表者名
      上村陽一郎、桑山秀一、上田昌宏
    • 学会等名
      第91回日本細菌学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 1細胞レベルでみられる転写動態の多様性と秩序形成2017

    • 著者名/発表者名
      村本哲哉
    • 学会等名
      北陸エピジェネティックス研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 1細胞レベルでみるエピジェネティックな継承の解析2017

    • 著者名/発表者名
      菊地亜紀、熊倉あこや、村本哲哉
    • 学会等名
      第40回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] CRISPR/Cas9による複数遺伝子の同時改変2017

    • 著者名/発表者名
      関根僚也、村本哲哉
    • 学会等名
      第40回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 転写の安定化が及ぼす多細胞体形成への影響2017

    • 著者名/発表者名
      菊地亜紀、熊倉あこや、渡邉淳、村本哲哉
    • 学会等名
      第7回日本細胞性粘菌学会例会
  • [学会発表] 転写因子GtaCにより律動的な転写動態を示す遺伝子の解析2017

    • 著者名/発表者名
      清水祐季、菊地亜紀、平岡真奈、村本哲哉
    • 学会等名
      第7回日本細胞性粘菌学会例会
  • [学会発表] 周期的挙動を示すMYB転写因子のライブイメージング解析2017

    • 著者名/発表者名
      船江聡子、岡野由里、渡邉淳、村本哲哉
    • 学会等名
      第7回日本細胞性粘菌学会例会
  • [学会発表] Gip1の構造から見えてきた三量体Gタンパク質シャトリングの分子基盤2017

    • 著者名/発表者名
      上村陽一郎、宮川武朗、小手石泰康、上田昌宏
    • 学会等名
      第14回GPCR研究会
  • [学会発表] Heterotrimeric G-protein shuttling via Gip1 extends the dynamic range of eukaryotic chemotaxis.2017

    • 著者名/発表者名
      上村陽一郎
    • 学会等名
      RIKEN CLST Educational Program
    • 招待講演
  • [学会発表] National BioResource Project (NBRP) of cellular slime molds in Japan2017

    • 著者名/発表者名
      Yoichiro Kamimura, Hidekazu Kuwayama, Masahiro Ueda
    • 学会等名
      Annual Interantional Dictyostelium Conference 2017
    • 国際学会
  • [学会発表] 三量体Gタンパク質の空間制御を可能にする構造基盤2017

    • 著者名/発表者名
      上村陽一郎、宮川武朗、小手石泰康、宮永之寛、上田昌宏
    • 学会等名
      第7回日本細胞性粘菌学会例会
  • [学会発表] 第4期NBRP細胞性粘菌2017

    • 著者名/発表者名
      上村陽一郎、桑山秀一、上田昌宏
    • 学会等名
      第7回日本細胞性粘菌学会例会
  • [学会発表] もっと使えるNBRP2017

    • 著者名/発表者名
      上村陽一郎、桑山秀一、上田昌宏
    • 学会等名
      第7回日本細胞性粘菌学会例会
  • [学会発表] GPCRシグナル伝達系における三量体Gタンパク質シャトリングの分子機構2017

    • 著者名/発表者名
      上村陽一郎、宮川武朗、小手石泰康、宮永之寛、上田昌宏
    • 学会等名
      第40回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] モデル真核生物「細胞性粘菌」の様々な研究における有用性と活用2017

    • 著者名/発表者名
      上村陽一郎、桑山秀一、上田昌宏
    • 学会等名
      第40回日本分子生物学会年会

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公開日: 2018-12-17   更新日: 2022-02-22  

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