研究課題
世界的にはグローバル・ヒストリー研究は活況を見せている一方、日本ではグローバル・ヒストリー研究の立ち遅れがみられる。そもそも世界史ではなくグローバル・ヒストリーであることの意義は、その語の原義がglobe、すなわち地球であることを考えみればよい。あえて地球規模からのマクロな分析を志向するのが本来のグローバル・ヒストリーであるのに対して、日本でのグローバル・ヒストリー研究はミクロなレベルの研究の集積程度に考えられているのである。こうした国内外の状況を背景に、本研究は16世紀から19世紀という期間において、地域的に全世界を対象とし、グローバル商品15品目の生産、流通、消費文化を検討する。さらに、グローバル商品の消費方法などをもとに文化圏を析出し、世界が多様な文化圏から構成されており、グローバル化の進展にもかかわらず、消費の立場からは多極化する傾向を持っていたことを明らかにする。いずれにせよ、消費の地域的、文化的差異に注目し、モノの生産のグローバル化と、消費文化の反グローバル的な多様性を析出することで、世界の一体化の初期局面を分析し、グローバル化の意味を歴史的に問うことを目的とした研究である。4年間にわたる研究計画のうち、2019年度は第4年度目にあたり、研究の総括を目指した。ここでは各グローバル商品の消費方法に着目して、その文化的差異を明らかにし、その複合体として消費文化圏の析出を行った。また、これに付随して、グローバル貿易の主要環節、ならびに新たなグローバル生産の地理的拡大や地理的生産特化の状況といったモノから見た世界経済の構造を図示することも企図した。
3: やや遅れている
補助事業の目的をより精緻に達成するには、これまでに行った実証研究の成果をもとに、2020年度に国際学会大会等で報告を行い、議論を精緻化し、国際的にみて優れた研究成果として公表することが喫緊の課題となった。
研究期間を1年延長し、当初の目標を確実に達成させることとする。
当初の研究目標の達成を確実にするため、議論を精緻化させる必要がある。そのため、研究期間を1年延長し、国際学会等での報告などを経て、総括的研究を進展させ、当初の目標を達成させる。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
Liu Yi-chang and Ann Heylen (eds.), Nanying History, Society and Culture V: Early Tainan Region, Tainan: The International Center of Tainan Area Humanities and Social Science Research
巻: - ページ: 205-220
Rila Mukherjee and Radhika Seshan (eds.), Indian Ocean Histories: The Many Worlds of Michael Naylor Pearson, London and New York: Routledge
巻: - ページ: 124-136
秋田茂編『グローバル化の世界史』ミネルヴァ書房
巻: - ページ: 147-170