研究課題
世界的にはグローバル・ヒストリー研究は活況を見せている一方、日本ではグローバル・ヒストリー研究の立ち遅れがみられる。そもそも世界史ではなくグローバル・ヒストリーであることの意義は、その語の原義がglobe、すなわち地球であることを考えみればよい。あえて地球規模からのマクロな分析を志向するのが本来のグローバル・ヒストリーであるのに対して、日本でのグローバル・ヒストリー研究はミクロなレベルの研究の集積程度に考えられているのである。こうした国内外の状況を背景に、本研究は16世紀から19世紀という期間において、地域的に全世界を対象とし、グローバル商品15品目の生産、流通、消費文化を検討した。さらに、グローバル商品の消費方法などをもとに文化圏を析出し、世界が多様な文化圏から構成されており、グローバル化の進展にもかかわらず、消費の立場からは多極化する傾向を持っていたことを明らかにすることを試みた。いずれにせよ、消費の地域的文化的差異に注目し、モノの生産のグローバル化と、消費文化の反グローバル的な多様性を析出することで、世界の一体化の初期局面を分析し、グローバル化の意味を歴史的に問うことを目的とした研究である。なお、2022年度は最終年度にあたる。多年圍わたる研究成果の取りまとめにつとめるとともに、国際学会(世界経済史学会 World Economic History Congress)で報告を行い、貴重なコメントを得る機会を得た。
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籠谷直人・川村朋貴編『近代東南アジア社会経済の国際的契機』臨川書店
巻: - ページ: 300-321
Radhika Seshan and Ryuto Shimada (eds.) Connecting the Indian Ocean World: Across Sea and Land, Routledge
巻: - ページ: 1-8
Acta Asiatica: Bulletin of the Institute of Eastern Culture
巻: 123 ページ: 53-65