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2016 年度 実施状況報告書

グローバル・バリュー・チェーン革命の功罪とガバナンス体制に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16KT0184
研究機関同志社大学

研究代表者

岡本 由美子  同志社大学, 政策学部, 教授 (00273805)

研究期間 (年度) 2016-07-19 – 2021-03-31
キーワードグローバル・バリュー・チェーン / ウガンダ / ミャンマー / コーヒー産業
研究実績の概要

平成28年度は、マクロ的観点から、Global Value Chains(GVCs)革命の持続可能な開発に与える影響を実証的に検証することを目的に研究を行った。当初は、クロスカントリーデータを用いて実証分析を行う予定でいたが、GVCsはタイプや地域によって違いがあることが明らかとなったため、タイプを絞り、異なる地域の比較研究を通して、GVCsの功罪に関する研究を開始した。
まずは、文献サーベイを通して、持続可能な開発に与える効果に関する理論的フレームワークを整理した。その結果、GVCsの進展により、イノベーションがproductやprocess upgradingのみならず、functional やchain upgradingが可能となり、20世紀型の「もの」を中心として組み立てられた保護主義的な貿易・産業政策の見直しが必要であることが明らかとなった。一方、地球規模でGVCsが進展してくると、VCsの中でのレントの配分の問題(格差問題)、長期的な視点に立ったupgradingの可能性(持続可能な開発の問題)、不確実性の問題等々、GVCsの進化には問題・課題も多いこともまた、明らかとなった。
第二に、GVCsといっても、産業によって性質が大きく異なることも明らかとなった。ローテク型かハイテク型の産業かによってもGVCsの性質が異なり、かつ、機械産業やサービス産業と、農林水産業のような資源ベースのGVCsもまた性質を異にする。
したがって、平成28年度の研究では、異なる性質のGVCsを区別できないクロスカントリーデータ分析ではなく、GVCsのタイプ毎に、事例研究を用いて、かつ、アジアとアフリカを比較しながら、GVCsの功罪について研究を深めるに至った。今年度は、アフリカのウガンダとミャンマーのコーヒー産業を比較しながら、資源ベース型のGVCsの功罪について、研究を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究課題の採択が4月ではなく、7月末であったため、研究の開始と予算執行が若干、遅れた。しかし、遅れはそれほど大きいものではない。平成28年度の研究成果をまとめる論文執筆が平成29年度前期にずれ込んではいるものの、平成29年度において、遅れは十分、カバーできると考えられる。

今後の研究の推進方策

平成29年度は、まずは、平成28年度の研究成果(これまでのGVCsの理論・実証研究に関するレビュー)を論文にまとめ、同志社大学大学院総合政策科学研究科の紀要『同志社政策科学』Vol.19、No.2に発表予定である。かつ、引き続き、コーヒー産業を代表とする資源ベースのGVCsの功罪について研究を進める。より具体的には、ミャンマーとウガンダを比較しながら(事例比較研究を通して)、GVCsのガバナンス構造、GVCs参入によるupgrading(持続可能な開発の可能性)の有無とその形態、GVCx上におけるレントの配分(格差問題)、価格変動による不確実性の問題等々、GVCsの功罪について実証的に明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

平成28年度の本研究課題の採択が4月ではなく7月末であったため、研究の開始と予算執行が遅れた。

次年度使用額の使用計画

繰越金額の72,979円については、ウガンダにおける海外調査費用(現地の研究協力者に支払う専門知識の供与への謝礼金)の一部にあてる。研究協力者には、1日1万円の謝礼金を10日間、お支払いする予定である。

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公開日: 2018-01-16  

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