研究課題/領域番号 |
16KT0190
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上羽 瑠美 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10597131)
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研究分担者 |
前田 恵理子 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00401084)
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研究期間 (年度) |
2016-07-19 – 2020-03-31
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キーワード | 嚥下障害 / 多列面検出器型CT / 高解像度内圧計 / 食品テクスチャー |
研究実績の概要 |
咀嚼運動と食塊の物性が咽頭流入に関与しており,液体の場合嚥下反射惹起が相対的に遅延しやすく,嚥下障害患者の摂食訓練にゼリーが使用されることが多い.初年度は、物性の違いと咀嚼嚥下による咽頭期嚥下への影響に関して、まず嚥下造影検査で検討した.物性の調節により咽頭の食塊移動時間が緩やかになり,咽頭期嚥下の惹起性低下が代償され得ることがわかった。 2年目は物性測定器機を購入し,食品テクスチャー解析を中心に研究を進めた。まず、カラギーナン,ペクチン,キサンタンガム-ローカストビンガムを含む3種類の市販ゲル化剤を用いて水ゲルを作製し,使用量や作製条件によるテクスチャー特性を比較検証した.カラギーナン製剤とキサンタンガム-ローカストビンガム製剤は,使用量の増加に伴い,硬さが増加したが,凝集性や付着性,弾力性に変化を認めなかった.一方,ペクチン製剤は,使用量の増加に伴い,凝集性や弾力性は変わらないものの,付着性と脆さが増加した.付着性が高かったのはペクチン製剤で,凝集性が高かったのはキサンタンガム-ローカストビンガム製剤であった.ゲル化に際して,冷却前の室温静置時間や糖添加はテクスチャー特性に殆ど影響を与えなかった.塩添加するとカラギーナン製剤とキサンタンガム-ローカストビンガム製剤において,硬さの増加と凝集性の低下を認めたが,ペクチン製剤では硬さと付着性が低下した.さらに,アルコールによるゲル化への影響も検証し,カラギーナン製剤の場合はアルコール添加により硬さが著明に増加すること,ペクチン製剤の場合はアルコール添加により様々にゲルテクスチャー特性が変化すること,XG-LBG製剤の場合はアルコール添加濃度によって硬さが低下し付着性が高まることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた食品物性測定がほぼ終了し、高解像度内圧計による検査も順調にすすんでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
1.320-ADCTによる嚥下機能検査(嚥下CT):前年度に引き続き、症例数を増やす。 2.高解像度内圧計による障害部位別の嚥下内圧評価:前年度に引き続き、症例数を増やし、解析を進める。 3.障害別の食品テクスチャー適性の解明:高解像度内圧計による検証を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額は小額であり予定通り計画を遂行している。
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