研究課題/領域番号 |
16KT0190
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上羽 瑠美 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (10597131)
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研究分担者 |
前田 恵理子 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00401084)
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研究期間 (年度) |
2016-07-19 – 2021-03-31
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キーワード | 嚥下障害 / 多列面検出器型CT / 高解像度内圧計 / 食品テクスチャー |
研究実績の概要 |
嚥下障害は,随意運動と不随意運動からなる一連の動作の障害が原因で生じるが,様々な病態と解剖学的構造が複雑に絡み合って関連している.その為,単一の検査のみでは病態把握や機能障害の解明は極めて困難で各方面からのアプローチが必要である.患者の適切な食品テクスチャー(付着性,凝集性,硬さ,粘度)を評価し,原因疾患や病態による構造変化や機能障害に応じた食品テクスチャー適性を確認することが望ましい.本研究は,非常に複雑な嚥下障害のメカニズムを,320 列面検出器型CT(320-ADCT)による4次元検査(嚥下CT)と高解像度内圧計(HRM)による口腔咽頭内圧検査を用いて,構造評価と機能評価という両側面より検証することを目的とした. 咀嚼運動と食塊の物性が咽頭流入に関与しており,液体の場合嚥下反射惹起が相対的に遅延しやすく,嚥下障害患者の摂食訓練にとろみをつけた液体やゼリーが使用されることが多い.初年度は、物性の違いと咀嚼嚥下による咽頭期嚥下への影響に関して、まず嚥下造影検査で検討した.物性の調節により咽頭の食塊移動時間が緩やかになり,咽頭期嚥下の惹起性低下が代償され得ることがわかった。2年目は物性測定器機を購入し,とろみ調整食品やゲル化剤の使用条件による食品テクスチャーの変化を中心に解析を進めた。3年目は,HRMを用いて食物通過路の圧力(嚥下圧)を測定することで,種々の原因疾患における嚥下機構の障害状況を検証した.神経筋疾患の多系統萎縮症では、咽頭期と食道期の協調運動障害をHRMで明らかにした.4年目は嚥下CTを用いた口腔,咽頭,喉頭,頸部食道の三次元嚥下動態の解析により,さまざまな嚥下動態における複雑な立体構造変化をとらえ,嚥下時の声門閉鎖状況も解析を行った.また嚥下手術方法の選択にHRMの結果が有用であることも報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究者の疾病治療のため、最終年後の進行がやや遅れ、最終年度を延長した。
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今後の研究の推進方策 |
1.320列-ADCTによる嚥下機能検査(嚥下CT):前年度に引き続き、症例数を増やす。 2.320列-ADCTによる嚥下時声門閉鎖不全状況の検証:最終年度に解析結果をまとめる 2.高解像度内圧計による障害部位別の嚥下内圧評価:神経疾患における経年変化を追跡し、治療介入のタイミングを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者が疾病のため、手術治療、化学治療などを受けており、研究を一時中断せざるを得なかったため。計画を1年延長し、次年度に使用予定である。
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