研究課題/領域番号 |
17002007
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
福田 猛 京都大学, 化学研究所, 教授 (00111972)
|
研究分担者 |
辻井 敬亘 京都大学, 化学研究所, 助教授 (00217308)
大野 工司 京都大学, 化学研究所, 助手 (00335217)
後藤 淳 京都大学, 化学研究所, 助手 (20335219)
佐藤 高哉 鶴岡工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (30399258)
|
キーワード | 濃厚ポリマーブラシ / 準希薄ポリマーブラシ / ゲルマニウム系リビングラジカル重合 / 極低摩擦特性 / 摩擦係数転移 / 抗タンパク吸着特性 / 単分散性複合微粒子 / 新規コロイド結晶 |
研究概要 |
濃厚ポリマーブラシに関する(1)合成化学的、(2)構造・物性科学的、および(3)機能開発的研究を推進し、主に以下の成果を得た。 (1)ゲルマニウム等の非遷移金属化合物を触媒とする新しいリビングラジカル重合法を開発した。この触媒は、重合制御に必要な量が僅少であることや、毒性が低いことを特徴とし、濃厚ブラシの応用分野によってはブラシ合成の基礎技術として有用であると考えられる。 (2)原子間力顕微鏡法などにより膨潤ブラシ間の摩擦特性の詳細を研究した。準希薄ブラシ間の摩擦係数は、低荷重域で極めて低い値(<10^<-3>)であるが、高荷重域ではこれより2〜3桁も高い値(〜10^<-1>)となった。一方、濃厚ブラシ間の摩擦係数は全ての荷重域で低い値(<10^<-3>)に留まり、準希薄ブラシのような、荷重の増大に伴う摩擦係数の転移を示さなかった。異種のブラシ(ポリスチレンとポリメタクリル酸メチル)間では、転移点が高荷重側へシフトした。この転移は、ブラシの相互貫入に関係し、濃厚ブラシにおいては、その強大な浸透圧効果のために、あらゆる荷重域で相互貫入が抑制されると結論づけた。 (3)膨潤ブラシ層とタンパクの相互作用の詳細をQCM法とクロマト法で研究した。ブラシ密度が十分に高く、隣接グラフト鎖間距離がタンパクサイズに比して十分に小さいときに限り、タンパクはブラシ層にほとんど吸着しなかった。これは、タンパク-ブラシ間に特異的相互作用がない限り、ブラシ層へのタンパク吸着が、主に層内へのタンパクの浸透によって起こることを示す。 濃厚ブラシを付与した単分散性シリカ微粒子の精密合成技術を確立した。この複合微粒子の分散液が、新しいタイプのコロイド結晶を形成することを熱力学的および構造科学的に証明した。
|