研究課題
前年度までに設置した局所電極高分解能アトムプローブ(LEAP)装置に、レーザービーム・コンディショニング・アッセンブリおよびクラスター・粒界データ高速解析ソフトウエアを導入することにより、レーザ蒸発観察時に破断しやすい試験片(RPV鋼監視試験片やシュラウド)の測定効率を飛躍的に向上させるとともに、質量分解能を向上させた。これによって、ベルギー商用炉Doel炉などのRPV鋼監視試験片の溶質原子の析出物(クラスター)や粒界での不純物偏析・析出の解析を行い、以下の主な結果を得た。a) ベルギーDoel-1、-2炉:不純物Cu濃度によって、3〜20年間のCu富裕ナノ析出物や照射欠陥の形成に大きな差異がある。第一世代のRPV鋼を用いたDoel-1,2炉では、最初の約3年間の間に、マトリックス中固溶CuからのCu富裕ナノ析出物の(CRNP)形成がほぼ完了する。その後の約25年間では、これらCRNPは粗大化すると共に、マトリックスからMn,Ni,P,Siを取り込む。b) ベルギーDoel-4炉(CuやP不純物濃度が低く抑えられた第二世代RPV鋼:約30年間の照射後でも、Cuに限らず、ナノクラスターは観察されない。c) Doe1-2炉試験片について粒界偏析を調べた結果、大傾角粒界では、照射前にCおよびP、3年間でMo、Cu(析出)、30年間でさらにSiやAsの偏析が起こる。一方小傾角粒界ではMnやAsの偏析は観察されない。従って、粒界偏析は粒界の種類にも依存する。RPV鋼監視試験片やシュラウド・ステンレス鋼の粒界での不純物偏析・析出の解析のための反射電子回折利用粒界傾角分析装置を導入することによって、従来よりも高精度かつ容易に傾角を制御したレーザーLEAP用試料を作製出来るようにした。これらによって、粒界近傍解析の効率を高めると共に、表面酸化したシュラウド鋼の解析の準備を進めた。
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