研究概要 |
超大規模スパース線形系の精度保証つき数値計算法の確立については,スパースコレスキー分解を一回することにより,対称行列の正値性を証明する手法を開発した.これにより,100万次元を越える大規模スパース行列の逆行列の存在とそのノルムを評価できることを示し,超大規模線形方程式の精度保証法を確立した. 誤差無し内積法の発展と応用については,コレスキー分解を高精度に行う方式を開発した.通常のLAPACKによる関数と,多倍長精度行列積の関数があれば実装できる高速かっ高精度な手法である.また,多倍長精度の行列積について,高速なBLASを主に用いる新しい方式を開発した. 偏微分方程式の数値的検証法については,並行Poiseuille流れを記述するNavier-Stokes方程式の安定性問題から導出される非自己共役複素固有値問題に対する計算機援用証明に取り組み,固有値の非存在範囲を効率的に特定する手法を開発した.また,この手法が一般の無限次元線形作用素の可逆性および逆作用素のノルム評価にも援用可能なことを明らかにし,定式化および検証例を与えた.また,スペクトル法に基づく高精度な近似解の構成によって,従来の手法に比べよりシャープな存在範囲を局所一意性付きで与えるアルゴリズムを提案した. カオス系を含む常微分方程式(ODE)の計算機援用証明法については,常微分方程式の精度保証を自動化する方式を提案した.
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