研究分担者 |
辻本 哲宏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (40212055)
齋藤 直人 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90334226)
小池 真紀 (谷 真紀) 北海道大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60396702)
堀 哲也 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70396703)
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研究概要 |
(1)シナプス小胞は伝達物質を放出した後、神経終末端細胞内に回収、再利用されることによって、シナプス伝達が長時間維持される。この回収機構にはGTPの加水分解が必須であり、回収初段のエンドサイトーシスにはGTP分解酵素ダイナミンの働きが不可欠であることが明らかになった。更に、いわゆる"kiss and run"型のエンドサイトーシスを反映する現象として最近脚光を浴びた時定数1秒以下の膜容量変化(Sun & Wu, Nature)はボツリヌス菌E型毒素によってシナプス伝達を完全に遮断後も残存することから、シナプス伝達とは無関係なアーチファクトであることが明らかになった(Yamashita et al, Science)。 (2)伝達物質の放出に関わるシナプス前末端のP/Q型Caチャネルは活動依存性増強を示すが、この性質はP/Q型に特異的であり、N型Caチャネルには存在しないことが明らかになった。更に、P/Q型Caチャネルの活動依存性増強は高頻度刺激入力に対する高い伝達効率をもたらすことが明らかになった(Ishikawa et al, J Physiol)。 (3)生後発達に伴う興奮性シナプス応答時間の短縮は、運動や知覚の精度上昇をもたらす。この生後発達変化には、AMPA受容体チャネルの平均開口時間の短縮と、AMPA受容体脱感作時間の短縮の両方が関わっていることが明らかになった。また後者の寄与は成熟と共に減少することが明らかになった(Koike-Tani et al, J Neurosci)。 (4)Calyx of Heldシナプスにおいては、シナプス後細胞だけでなく、神経終末端にもAMPA受容体が発現しており、アゴニストによって活性化されると、GTP結合タンパク質を介して終末端のCa電流を抑制し、それによって伝達物質の放出を抑制することが明らかとなった(Takago et al., PNAS)。
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