研究課題/領域番号 |
17002013
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 智幸 東京大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40092415)
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研究分担者 |
辻本 哲宏 東京大学, 大学院医学系研究科, 講師 (40212055)
齋藤 直人 東京大学, 大学院医学系研究科, 講師 (90334226)
堀 哲也 東京大学, 大学院医学系研究科, 助手 (70396703)
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キーワード | Caチャネル / Kチャネル / 神経終末端 / 5-HTレセプター / ステロイド / GTP結合タンパク質 / Calyx of Held / タキフィラキシー |
研究概要 |
1.脳幹聴覚中継シナプスcalyx of Heldにおいて、シナプス前末端のCaチャネルに媒介されるシナプス修飾作用を新たに見出した。 (1) 5-HT_<1B>レセプターに媒介されるシナプス伝達物質放出抑制メカニズムは専らシナプス前末端のCa電流の抑制によって媒介されることが明らかになった。この作用はGABA_B、レセプターを介するシナプス前抑制作用によってoccludeざれることから、既に報告した代謝型グルタミン酸受容体、アデノシンA1受容体と同様に三量体Gタンパク質を介するCaチャネル抑制機構を共通経路としてシナプス前抑制作用を惹起すると推論された。calyx of Heldシナプス前末端に発現する他のGタンパク質共役型受容体と異なり、5-HTのCa電流/EPSC抑制作用は、繰り返し投与によって減弱するタキフィラキシーを示した。このタキフィラキシーほ前末端内にBAPTA(10mM)を負荷することによってブロックされたことから、Ca依存性の脱感作、もしくは細胞内取り込み(internalization)の関与が示唆された(論文1)。 (2)ステロイドpregnenolone sulfate(PREGS)による伝達物質の放出促進メカニズムを解析した結果、PREGSは神経終末端の電位依存性Caチャネルに細胞外から作用してこれを活性化することによって伝達物質の放出を促進することが明らかになった。この促進作用は既に報告したNCS-1による促進作用とは異なり、N型とP/Q型のいずれにも特異性を持たなかった(論文2)。 2.脳幹聴覚中継シナプスcalyx of Heldにおいて、生後発達に伴う神経終末端のKチャネルの変化を明らかにした。生後7-14日にかけて、シナプス前末端の活動電位幅は約1/2に短縮するが、この変化は、(i)電位依存性Naチャネル不活性化時間の短縮、(ii)電位依存性Kチャネルの密度の増加(約2倍)、(iii)Kチャネルの活性化時間の短縮、によってもたらされることが明らかとなった。Kチャネル密度の上昇は、KV1、KV3チャネルの増大によってもたらされ、前者は神経終末端の安定化、後者は活動電位の高頻度発火の信頼性を支えることが明らかになった(論文3)。
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