研究課題/領域番号 |
17002015
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
本庶 佑 京都大学, 医学研究科, 寄附講座教員 (80090504)
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研究分担者 |
新蔵 礼子 京都大学, 医学研究科, 講師 (50362471)
ベガム ナシム 京都大学, 医学研究科, COE助手 (80362507)
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キーワード | クラススイッチ / 体細胞突然変異 / RNA編集 / ウラシルDNAグリコシラーゼ / 免疫沈降法 / マイクロアレイ法 |
研究概要 |
本年度、AIDのクラススイッチ組換えの機構解明に関して、大きな進展があった。すなわち、DNA脱アミノ仮説によれば、AIDによって脱アミノ化されたウラシルがウラシルDNAグリコシラーゼ(UNG)で除去されることがDNA切断に不可欠である。我々はすでにUNGのウラシル除去活性がクラススイッチに関係ないことを示していたが、今回UNGのWXXFモチーフを介した別のタンパク質との会合がクラススイッチに不可欠であり、WXXFのモチーフに変異を入れたUNGでU除去活性が損なわれていないものでもクラススイッチ活性がないことを明らかにした。WXXFモチーフと会合するHIVウイルス由来のタンパク質、Vprを過剰発現するとドミナントネガティブ効果が得られたので、クラススイッチ組換えに必要なUNGのWXXFモチーフと会合する宿主タンパク質の存在が強く示唆された。一方、AIDの異常発現による発癌の機構についても大きな進展が見られた。第一は、myc遺伝子のトランスジェニックを用いた実験で、Bリンフォーマの産生にはAIDが必要であるが、プレBリンフォーマの産生にはcmyc異常発現だけで十分であることが示された。また、消化器内科グループとの共同研究によりAIDの異常発現がHCVおよびヘリコバクターピロリなどの感染により発現誘導されることを示した。これらの癌組織にはAIDの発現も見られ、今後ヒト癌発癌におけるAIDの役割が大きな注目を集める。
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