研究課題/領域番号 |
17002017
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長田 重一 京都大学, 医学研究科, 教授 (70114428)
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研究分担者 |
川根 公樹 京都大学, 医学研究科, 助教 (60362589)
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キーワード | アポトーシス / シグナル伝達 / フォスファテジセリン / マクロファージ / 貪食 / 受容体 / MFG-E8 / TIM-4 |
研究概要 |
動物の発生過程で形成される数多くの不要細胞はアポトーシスと呼ばれる過程で死滅する。アポトーシスではカスパーゼと呼ばれるタンパク質分解酵素が活性化され細胞は死にいたる。また死細胞はphosphatidylserineをその表面に暴露し、マクロファージにより、認識・貪食される。私達は以前、脾臓胚中心のマクロファージや腹腔の炎症性マクロファージはMFG-E8と呼ばれる分子を用いてアポトーシス細胞を貪食することを示した。今回、腹腔に本来存在するマクロファージはアポトーシス細胞を非常に効率よく貪食するがMFG-E8を発現していないことを見出した。そこで腹腔マクロファージを抗原としてハムスターを免疫し、その表面抗原に対するモノクローナル抗体のライブラリーを作成した。そして、その中からアポトーシス細胞の貪食を顕著に抑制する抗体(Kat5)を見出した。ついで、この抗体が認識する抗原を発現クローニング法により同定したところ、その分子はTim4と呼ばれるタイプIの膜蛋白質であった。この分子はアポトーシス細胞の表面に暴露されるphosphatidylserineを特異的に認識した。そして、Tim4をマウス繊維芽細胞NIH3T3に導入したところその細胞はアポトーシス細胞をあたかもマクロファージのごとく貪欲に貪食した。以上のことからTim4はphosphatidylserine receptorとしてアポトーシス細胞を認識、貪食すると結論した。また、Tim4とMFG-E8の発現をReal-Time PCRで検討し、Tim4は本来腹腔に存在するマクロファージ、MFG-E8は炎症性マクロファージに区別されて発現されていることを確認した。このことはマクロファージに亜種が存在することを示している。
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