研究課題
プロテアソームは不要になった細胞内の蛋白質を選択的に分解するための大規模な細胞内装置である。本酵素は触媒機能を司る20S CP(Core Particle)の両端に調節ユニットである19S RP(Regulatory Particle)が会合した分子量2.5MDaの巨大で複雑な多成分複合体である。CPはα-Ringとβ-Ring(各々7種のα/βサブユニットから構成)がαββαの順で会合した円筒型粒子であり、RPは6個のATPase(Rpt1-6)と約15個のnon-ATPase(Rpn1-15)サブユニットがLid(蓋部)とBase(基底部)を構成している。本年度までにこの超複合体の分子集合を支援するPAC1-PAC4を含む約10種の分子シャペロンを発見して、本複合体が形成される仕組みの解明に成功した。一方、プロテアソームには分子多様性があり、以前に見出した免疫プロテアソームに加えて新たに胸腺プロテアソームを発見した。胸腺プロテアソームはT細胞のレパートリー形成に必須な酵素であり、本酵素の発見により長い間不明であった胸腺における"正の選択"のメカニズムが明らかとなった。この成果は、新しい感染免疫研究の発展に貢献することが期待できる。本年は同時にユビキチンの代謝研究、とくに常染色体劣性若年性パーキンソン症候群の原因遺伝子産物Pink1とParkinが傷害ミトコンドリアの品質管理に関与することを突き止めた。また細胞内でユビキチンの量がコントロールされる仕組みも解明した。さらにオートファジー(自食作用)の機能解析研究を通して、オートファジーが細胞ストレスで生じた異常蛋白質を選択的に処理する細胞内浄化機構の解明に成功した。これらのプロテアソームを基軸とした蛋白質分解系の先駆的な研究は、がんや神経変性疾患の発症機構解明に鋭く迫る研究であり、高齢化社会における医学研究への大きな波及効果が期待できる。
すべて 2009 2008 その他
すべて 雑誌論文 (21件) (うち査読あり 21件) 学会発表 (5件) 図書 (9件) 備考 (2件)
Nature Cell Biol. 11
ページ: 123-132
Mol Cell Biol. 29
ページ: 1095-1106
EMBO J. 28
ページ: 359-371
Cell in press (May 1^<st>).
Nature 458
ページ: 1131-1135
Blood in press
Nat Rev Mol Cell Biol 10
ページ: 104-115
Proc. Jpn. Acad. Ser B Phys Biol Sci. 85
ページ: 12-36
Adv Immunol in press
Biochem Biophys Acta - Mol Cell Res. in press.
Nature Struct. Mol. Biol. 15
ページ: 228-236
EMBO Rep. 9
ページ: 878-884
EMBO J. 27
ページ: 2204-2213
Cell 135
ページ: 355-365
Cell Metab. 8
ページ: 325-332
ページ: 318-324
Mol Biol Cell 19
ページ: 4762-4775
Curr Opini Immunol 20
ページ: 192-196
Trends Immunol 29
ページ: 251-155
Nature (News and Views) 453
ページ: 460-461
Autophagy 4
ページ: 1063-1066
http://www.rinshoken.or.jp/
http://www.f.u-tokyo.ac.jp/