生涯学習(成人)における科学教育と学校の理科教育との関係を再生産サイクルとして捉える視点から、学校に限定された視点による理科教育(科学教育)の改革構想では提供されなかったユニークでかつ有効な知見の提供を目指し、研究は以下の2本の柱で進めた。 研究の柱I:学校教育における科学学習と成人の科学学習の接続についての研究(大高担当) (1)新聞の科学記事と高校の理科教科書の内容との接続分析 (2)公衆の科学理解・科学意識・科学コミュニケーション力と学校の科学教育のかかわりに関する先行研究の分析 (3)生涯学習施設における科学講座と講師・受講者の分析 (4)上記の再生産サイクルモデルの精緻化 研究の柱II:理科教育におけるキャリア教育(鶴岡担当) 青少年の科学学習をキャリア教育とのかかわりで検討するために、次の研究を進めている。 (1)科学者・技術者のキャリア選択要因の分析 理科嫌い・科学技術離れについて、その原因や防止策の探索が試みられているが、鮮明な解答が得られていないし、 (2)キャリア教育が各教科の教育にまで浸透しているアメリカ科学教育の調査・分析 (3)(2)のようなキャリア教材の開発・試行による効果の検討 (4)SSHやSPPなどにおける専門家との接触のもつキャリア教育的価値の分析 (5)国語科における「科学的説明文」の科学教育・科学キャリア形成の視点からの検討 (1)の試行的研究によれば、読書やテレビ番組視聴も、科学技術系キャリア選択要因のうちかなりの比重を占める。学校中でも、「理科」教育だけが、科学教育ではないと言うことができる。
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