研究概要 |
1.論理的な思考を支援する統合学習環境(Digitalノートパッド)の実現 これまでの研究により様々な機能を持ったノートパッドを開発してきた.しかし,問題を数値的,論理的に分析することを支援する機能は持っていなかった.そこで,この論理的な思考を支援する以下の3つの機能を設計した. (1)手書き計算機能 最も基本的な計算的支援は四則演算計算を直接支援することである.「1+2=」と手書きで書いた場合,「=」の右に「3」が表示される. (2)手書き表計算機能 表計算ソフトはワープロについで利用者が多いことからもわかるように,第二の計算的支援として表計算を対象にした.つまり,手書きでラフに数字を並べ,大まかな罫線を書くと表として扱われ,集計やグラフ描画を可能とする機能である. (3)手書きフローチャート機能 さらに,論理的な支援として,アルゴリズムの作成・検証を支援するために手書きフローチャート機能を持たせる.手書きで通常の四角や菱形の中にプログラムコードを書くことにより,フローチャートによって論理的なアルゴリズムを記述できる.この手書きのプローチャートを1ステップごと動かして論理的に正しいかを確認することができる. 2.マルチメディア情報に関する認知実験と利用指針 入力速度及び認知的負荷に注目し,キーボードと手書きの比較実験を行い,手書きアノテーションの有効性について定量的に分析した. メディアウィンドウに表示されるビデオ(音声+映像)を見ながら,メモウィンドウにその内容を手書きとキーボードでメモし,最後に理解度を測るためにQ&Aウィンドウに表示された問題を解く. メモの評価に関しては,被験者のメモと予め音声素材から抽出した概念を比較した.手書きの方が概念の再生数が多いことが判明した.また正答数を分析した結果,平均正答率は手書きの方がキーボード入力より正答数が5問程度多かったという結果が得られた.統計的にも定量的に,手書きの方がキーボードより評価が高いということが示された.
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