研究概要 |
1.ポインター方式による分子模型教材(特許3757283)の概要と意義 ポインターとは,原子として用いる発泡スチロール球に化学結合の位置を設定するため開発された定規である。ポインターには,sp3,sp2-d2sp3混成軌道など様々な結合角および結合数に対応し,球の大きさに合わせて各種のものがある。事実上,あらゆる分子結晶模型の製作が可能である(福井新聞H17/9/27)。化学結合の接ぎ手には楊枝を用い,ボールスティックあるいはボール充填モデルに対応する。分子模型は,理科とりわけ化学教育に於いて,その立体構造をリアル3Dで体感できる唯一の必要不可欠な教材である。しかし,教育現場での活用は進んでいない。分子模型教材が抱える問題を見極め,解決する方策を立て,広く活用される理科教材とするため以下の実践活動研究を行った。 2.分子模型製作体験及び自然体験学習による普及啓蒙活動 9つの分子模型展示製作および自然体験学習プログラムを延べ24日間にわたり実施し,分子模型教材の実践的活用法の研究に従事した。初等中等教育における分子模型教材の意味付けを行い,学習指導要項に沿った中学生および高校生用の分子模型キットを試作した。原子分子の概念からはじまり身近な物質の性質などそれぞれの学習ポイントを押さえ,楽しく簡単に製作するためのマニュアル作りに力点を置いた。この試作キットの実証研究を平成18年度に向けて実施する。自然体験学習では,環境汚染物質と生物多様性をテーマに分子模型教材を活用した取組を一層推進する。 3.今後の新世紀型分子模型教材を目指した新展開 ポインター方式分子模型製作方法の特許登録を受け,大学発ベンチャー・福井ウルテック(有)を設立(H17/12/12)した。学術的要素のみならず市場原理にさらすことで新世紀に生き残る教材開発に向けた研究体制を立ち上げた。教育現場の要望を吸い上げ,それに答えた優れた教材は必ず普及し活用されるものと期待される。
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