平成15・16年度特定領域研究「盲学校の生徒がプログラムできる音声電圧・電流計の開発」で開発した音声テスタを基本にして、これを目的の教材として使える様にするために、ハードとソフトの改造を行った。具体的には、シリアル通信を使ったパソコンとの通信機能を実装する事により、パソコン側から簡単な命令を送る事で、(1)電圧・電流の測定とその値の読上げ、(2)追加実装してあったストップウォッチ機能の操作と経過時間の読上げ、(3)パソコンから値を指定しての0から9までの数字と小数点の発声、を任意の組み合わせで行う事ができる様にした。これで「生徒がパソコン上でCやBASICなどの高級言語で作製したソフトウェアを使って音声テスタを操作する」という教材には使えるものになった。 更に、次のステップとして「生徒が(より基礎的な)機械語で音声テスタ上のメモリ・レジスタ・I/Oを直接操作するソフトウェアを作成し、これを音声テスタ上にロードして実行する」という教材として使える様にすべく、上記シリアル通信機能を利用して、専用の書込み器なしで、音声テスタ上にプログラムを書込む機能を搭載した。 また、盲学校の先生方との交流から、上記の教材をいきなり生徒に与えるのは無理があると考える様になり、中間的な教材として、簡単なエレクトロニクス回路を生徒が自作するという教材の開発にも着手した。具体的には、盲学校の理科実験でよく使われる「感光器」(光の強弱を音の高低あるいは強弱で表現する機器)の廉価版を、目が見えない生徒が作製できる様に工夫したキットである。これらを素材として、平成18年度は教材として使うのに必要な環境を準備し、実際に盲学校の先生や生徒に使ってもらい、教材化を進める予定である。
|