研究概要 |
科学を題材にしたテレビ番組を,生きた教科書(ビデオ教材)として扱い,身近なノートのような備忘録を,ビデオ教材に付随させて電子的に残し(電子ノート),これらを用いた独習を支援するシステムとしてViNoSyLを開発している.現実の学校のような環境では,生徒が友人や先輩からさまざまな刺激を受け,学習意欲が向上することは少なくない.そのような集団の中に個人がいる環境を,ネットワーク環境で独習しているViNoSyL利用者に提供できるようにシステムを拡張している. 平成17年度は次の観点から研究を進めた.一人で勉強していると,同じビデオ教材で勉強している他の人のことが気になってくる.現実の学校において,同級生がどこまで理解しているのかが気になるのと同じである.このように他人の存在を意識することを,個人学習システムにどのように持ち込めばよいかを分析した.一般に,同じビデオ教材で勉強している子どもたちには面識がない.学校ならば,先輩や同級生のノートを見せてもらうことがある.わからないところを教師に教えてもらうより,友人に教えてもらう方が効果的であることも多い.個人学習システムでどのような工夫をすれば,ノート情報に関してこのような行為に近づくのか分析し,次のような機能をViNoSyLに実装した. 学習者の理解が進むに従い,過去に記述されたノートに追記するなど,新しい有益な情報が追加されたり,過去の記述が整理されたりする.そのため,ある学習者Aが他の学習者Bのノートの内容をコピーした後に,学習者Bがノートに追加・変更した内容は,改めてそのノートを見ない限り知ることはできない.より多くの情報を他の学習者のノートから収集することを目的とし,ノートのコピー後にコピー元に変更があった場合はそれをどのように通知すればよいかを検討し,その機能をViNoSyLに実装し,集団利用システムとしての有効性を検証した.
|