本研究項目は技術あるいは研究思想の進展著しい分野との融合を目指すことによって、がん研究に関わる新技術の開発と新思想に基づく研究を遂行し、これらの成果をがんの予防・診断・治療に還元していくことを目的としている。特にがんをシステムの異常として理解するための研究を展開させるため、新しい工学的技術のがん研究への導入、さらには進展著しい構造生物学や発生工学などをもがん研究に取り込むことによって本研究項目の発展を図った。計画研究ではすでに、調整班により、本計画で設定された研究項目の重要なテーマを選定し、8計画研究を策定し、更に8つの公募研究を総合的に推進した。 その結果、がん細胞と特異的に殺傷する分子の同定が進み、がん遺伝子情報伝達系の活性変化を細胞でイメージングする技術開発も更に進展した。また、ナノゲルなどを用いた選択的ドラッグデリバリーシステムの開発など、新しいがん免疫療法に繋がる工学的技術の開発に成功するとともに、がん遺伝子産物のシグナル伝達機構や立体構造の解析にも一層の進展が見られた。 本調整班は、計画班員間の共同研究や情報交換のためのシステムの充実を図るとともに、研究項目全体の運営を円滑に行うため、相互に緊密な情報交換を行いながら研究項目全体の推進を図るべく、平成20~21年度に設定された新しい研究組織の研究者が集まり、研究発表会と情報交換を行った。
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