• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2009 年度 実績報告書

シグナルのカスケードと細胞周期

研究課題

研究課題/領域番号 17012012
研究機関京都大学

研究代表者

西田 栄介  京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60143369)

キーワードMAPキナーゼ / ERK1 / 2 / 細胞分裂期 / 転写ネットワーク / Sprouty / E2F
研究概要

細胞周期のM期における染色体分配の分子機構をHeLa細胞を用いて解析し、低分子量GTP結合タンパク質Cdc42の作用機構を明らかにし、アクチン細胞骨格を介する経路とPI3キナーゼを介する経路が存在することを示した。細胞増殖因子の刺激によって、静止期細胞の増殖が再開始され、細胞は、S期を経て、M期に至るが、その過程における全ゲノムワイドな遺伝子発現をマイクロアレーにより包括的に解析し、ERK1/2MAPキナーゼの役割を明らかにした。ERK1/2は、転写因子E2Fの活性化が起こるまでは、キナーゼ活性が持続していることが必要であり、それ以降は、不活性化しても細胞周期の進行は止まらないことが分かった。また、ERK1/2依存的な遺伝子発現のカスケード反応が存在することを示し、早期応答遺伝子の一過的な発現から、M期制御タンパク質の発現に至るまでの転写因子のカスケード反応の詳細を解明した。さらに、M期への進入やM期の進行に必須の役割を果たす遺伝子群の転写調節においてNF-YとMybという二つの転写因子が極めて重要な機能を担っていることを示した。これらの結果は、ERK1/2MAPキナーゼの細胞周期の進行における役割を明確に示したものとして重要であるばかりでなく、細胞分裂期の制御において、タンパク質の生成と分解のレベル以外に、転写のレベルにおいても必須の調節機構が存在することを示した点でも意義がある。ERK1/2MAPキナーゼの増殖因子刺激依存的な活性化調節において重要な役割を果たす因子であるSproutyの解析を進め、Sproutyの新しいターゲットを発見した。すなわち、Crk-Lというアダプター分子が、Sproutyのチロシンリン酸化依存的に結合することを示した。その際の、Sproutyとの結合には、Crk-LのSH2ドメインとSH3ドメインの双方が必須であることも明らかにした。この結合の細胞周期進行制御における役割を解析している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] CrkL is a novel target of Sprouty2 in fibroblast growth factor signaling2010

    • 著者名/発表者名
      Satoh T., et al.
    • 雑誌名

      Genes Cells 15

      ページ: 161-168

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Phosphoproteomics reveals new ERK MAP kinase targets and links ERK to nucleoporin-mediated nuclear transport2009

    • 著者名/発表者名
      Kosako H., et al
    • 雑誌名

      Nat.Struct.Mol. Biol. 16

      ページ: 1026-1035

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dual role of Cdc42 in spindle orientation control of adherent cells2009

    • 著者名/発表者名
      Mitsushima M., et al.
    • 雑誌名

      Mol.Cell.Biol. 29

      ページ: 2816-2827

    • 査読あり
  • [学会発表] 細胞分裂期におけるアクチンダイナミクス2009

    • 著者名/発表者名
      満島勝, ら
    • 学会等名
      第82回日本生化学会大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20091021-20091224
  • [学会発表] FGF経路におけるSproutyの新規標的因子CrkLの同定2009

    • 著者名/発表者名
      佐藤崇之, ら
    • 学会等名
      第82回日本生化学会大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20091021-20091024

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi